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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

スタバ、勉強している客を追い出し 「居心地のよさ」追求で回転率低下という深刻な課題

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授
スタバ、勉強している客を追い出し 「居心地のよさ」追求で回転率低下という深刻な課題の画像1東京都内のスターバックス店舗(「Wikipedia」より/Kure)

 スターバックスコーヒーは、相変わらず人気があります。こうした人気は大学生においても目立っています。しかしながら、若者の車離れや酒離れ同様、コーヒー離れも深刻なようで、スタバに行っても注文するのはフラペチーノなど、ドリップコーヒー以外の商品が中心となっています。

 もっとも、こうした状況はスタバ自身が意図したことかもしれません。2011年のロゴマークの変更により、人魚の周りを取り巻く「STARBUCKS COFFEE」の文字がなくなり、今のロゴとなったわけですが、その理由はスターバックス=コーヒーという狭い枠組みからの脱却であると聞いたことがあります。ドリップコーヒー以外の商品を提供する戦略は、サービス当初アメリカではオペレーションがうまくいかず、「大混雑」「顧客満足が大きく低下」などと一部で不評の声が上がりましたが、今はだいぶん落ち着いてきているようです。

 まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのスタバですが、みなさんスタバの問題点および改善点について何か挙げることができますか?

ブランドを守ることvs. 売り上げ拡大

スタバ、勉強している客を追い出し 「居心地のよさ」追求で回転率低下という深刻な課題の画像2『「高く売る」戦略』(大崎孝徳/同文舘出版)

 先日、学生たちとこのテーマについて話をする機会がありました。そこでは、「フードメニューを充実させてほしい」といった、いかにも学生らしい問題点も指摘されましたが、ブランドに関する意見が多く挙げられました。具体的には、「自宅近くのスーパーマーケットの中にスタバが入ったが、こうした場所への出店はブランドイメージが低下するのでやめたほうがいい」という意見や、さらに厳しい学生は「大型ショッピングモールの中さえ、イメージ低下につながる」と指摘しました。

 プレミアム商品の研究でも、市場に枯渇感を与えることが重要であり、どこでも気軽に手に入る状態にはしないようにするべきとの指摘もあります。確かに、富山の環水公園や神奈川・鎌倉の御成町といった路面店は、スタバのイメージ向上に大きく貢献するでしょう。しかし、そうした場所のみへの出店となると、立地条件が大きく制限され、さらに費用や調査時間に関しても深刻な事態となります。また、出店チャンスがあるのに思いとどまれば売り上げ拡大のチャンスを逃すことになり、企業にとっては非常に難しい決断となるでしょう。

「ファーストリテイリングがユニクロとGUを分けて展開しているように、スタバもモールに出店する店舗は別ブランド化させるべき」との意見もありましたが、別ブランドをうまく構築して定着させることができるかは興味深いポイントです。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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