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猛威をふるう内部告発 行政の失態で告発者に被害続出、ザル法改正機運高まる

文=山口義正/ジャーナリスト
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猛威をふるう内部告発 行政の失態で告発者に被害続出、ザル法改正機運高まるの画像1消費者庁 HP」より
 内部告発が猛威をふるっている――。

 4年前にはオリンパスの損失隠し事件を発覚に導き、最近では東芝の粉飾決算が内部告発によって暴かれた。免震偽装に揺れる東洋ゴム工業では内部告発者の出現を恐れて密かに対策を練っていたことが明らかになるなど、今や内部告発は決して疎かにはできない経営上の重要な管理項目になった。一般の会社員などにとっても「明日内部告発するのは自分かもしれないし、告発されるのが自分たちかもしれない」という身近なテーマになりつつあるのだ。

 しかし現行の公益通報者保護法は、公益のために不正を通報した人を保護する内容とはいいがたく、実際はその名とはかけ離れている。法曹界からも内部告発を経験した人からも、改正すべしとの声が高まり、消費者庁は同法の課題を洗い直しているところだ。現状はどうなっているのか、探ってみた。

 11月5日夕、都内で弁護士有志や内部告発の経験者たちが集まってシンポジウムが開かれた。テーマは「こうあるべきだ! 公益通報者保護法改正」。同法は問題点の多い法律として知られている。同法が適用されるには満たさなければならない要件が多いうえ、行政に通報したところで握り潰されたり、内部告発者についての情報が告発された企業などに伝えられたりといったことが頻発。内部告発者が企業から損害賠償請求訴訟を起こされるなど、実際の運用上の問題は数え上げればきりがないほどだ。

 同法の施行に当たり、経団連が「日本が密告社会になってしまう」として骨抜きにしてしまったこともあり、実効性も使い勝手も悪い法律になったという。しかも公益通報者保護法は2006年4月1日に施行されたが、そこに盛り込まれた「5年後の見直し」は反故になっている。経済界から「改正すべき事情を考えるうえで、基礎情報を集めるべきだ」との声が上がり、見直しはうやむやになった。

高まる法改正機運

 しかし、内部告発がさまざまな分野でその影響力の大きさを見せつけ、労働者保護と同時に消費者保護の観点からも法改正の機運は高まっている。関東弁護士連合会は8月3日に「公益通報者保護制度に関する意見書」をまとめ、これまで公益通報者保護法改正に向けて意見書をまとめてきた日本弁護士連合会は9月11日、「公益通報者保護法日弁連改正試案」を公表した。

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