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絶望の介護業界…平均給与が全産業平均より10万低、重労働&職場ギスギスで若者不足深刻

文=福田憲次郎/福祉ジャーナリスト
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 しかも福祉専門学校は、高校で開かれる進路説明会にも呼ばれなくなった例もあるという。

「ほかの専門学校と違って福祉には入学希望者がいないという理由で、説明会の参加リストから外されてしまった」(福祉専門学校校長)

 低賃金で重労働というイメージは、もはや覆しようもないほど浸透し切ってしまったが、とくに賃金水準の低さは著しい。「平成26年賃金構造基本統計調査」(対象:常勤労働者)を見てみよう。全産業の平均給与(基本給+諸手当)は、42歳平均で32万9000円である。これに対してホームヘルパー22万円(44歳平均)、福祉施設介護員21万9000円(39歳平均)。全産業平均よりも10万円低い。

 政府も対策を打ち、平成27年4月の介護報酬改定で月1万2000円の介護職員処遇改善加算を設けた。この措置に対して、当初は「地方では給与が20万円に満たない介護職も多いから、月1万2000円の増収は大きい」(介護コンサルタント)と期待されていたが、そうはならなかったようだ。

「職員たちにとって、月1万2000円では給与が増えたという実感は得られない。3~5万円は増えないと、処遇が改善されたという実感は持てないだろう」(東北地方の社会福祉法人理事)

金銭的インセンティブ

 こうした状況で「介護離職ゼロ」政策はどこまで現実的なのだろか。政府は平成27年度補正予算で介護職確保に444億円を投入し、2020年代初頭までに約25万人を増員する計画を策定した。確保策の柱は次の3つである。

(1)離職した介護人材の呼び戻し
(2)学生および中高年の新規参入
(3)離職防止・定着促進、生産性向上
 
 目玉は金銭的インセンティブの創設だ。(1)については、再就職準備金として上限20万円を貸し付け、2年勤務すれば返済を免除する事業を実施し、(2)については介護福祉士を目指す学生を対象に、学費として上限80万円を2年にわたり貸し付ける。こちらは5年勤務すれば返済が免除される。

 さらに地域医療介護総合確保基金(平成28年度予算案で90億円)を活用して、合同就職説明会実施、キャリアアップ研修支援、未経験者への研修支援、潜在介護福祉士の再就業促進、介護ロボット導入支援などを実施する計画である。