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小池百合子東京都知事と公明党の「蜜月」…自民党都議連、弱体化で崩壊の危機

文=朝霞唯夫/ジャーナリスト
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小池百合子東京都知事と公明党の「蜜月」…自民党都議連、弱体化で崩壊の危機の画像1小池百合子東京都知事(ロイター/アフロ)

「日本維新の会のような政党をイメージしていたら見誤る。彼女が目指している政党、モデルとなる政党は、公明党だろう」

 自民党古参秘書がこう語るのは、今夏“百合子旋風”を巻き起こした小池百合子東京都知事の新党構想に対してのものだ。2020年の東京五輪会場問題に築地市場の豊洲移転問題と、当選直後から小池都知事は休む間もなく忙しい。ワイドショー的に見れば、これらの問題がどう展開していくのかが注目の的ということだろうが、永田町的にはやや見方が違う。

「支持基盤のない小池知事は、都議会を味方につけるため、新党をつくる準備として政治塾『希望の塾』を立ち上げた。来年は都議選のある年で、それに間に合わせるかたちで新党ができれば、大量当選が見込めます。橋下徹氏が大阪府知事時代に結成した地域政党『大阪維新の会』のような政党ができれば、自民党都議は壊滅的なダメージを受けるかもしれません」(永田町関係者)

 希望の塾の入塾者は約3000人。立ち上がりは大盛況で、今後の展望としては橋下氏や河村たかし名古屋市長との連携がどうなるのかに注目が集まっている。しかし、前出の古参秘書が語る「維新とはまったくの別物」とはどういう意味か。

「維新は地域政党を謳いながら、すぐに国政政党を目指した。都構想を掲げた以上、国政進出しか手立てがなかったからだ。しかし、小池都政においては急いで国政を目指す必要性はない。かつて、都議会でじっくり力を蓄えていった公明党のやり方を選んだといえるでしょう。加えて、公明党と協力関係を築こうという点も見逃せない」(同秘書)

特別秘書の存在

 公明党との協力関係は、小池都政スタート直後から囁かれていた。その顕著な例が小池知事の特別秘書の存在だ。都政担当記者は語る。

「特別秘書は2人いて、ひとりは元都議の野田数氏。もともと小池氏の秘書をしていて、自民党から出馬したものの、その後離党しました。かなり右寄りの発言で物議を醸した人物です」

 都議会内でも、小池知事が野田氏を特別秘書に起用したことに疑問を感じる者も少なくないという。しかし、野田氏は公明党人脈を持っており、議会対策でも手腕を発揮するのではないかとみられている。

「もうひとりが元読売新聞記者の宮地美陽子氏。といっても、甲府支局勤務後、東京本社編成部を経て退社した方です。父親は元テレビ朝日の政経部(現・政治部)記者で、夫は産経新聞記者。どちらも小池知事とは旧知の仲なので、当初は縁故採用のようなかたちとの見方がもっぱらでした」(同)

 秘書に採用後は広報担当として、小池知事の行動をツイッターにアップするなどの仕事を行っている。しかし、父親は公明党に強いパイプを持っており、ここでも公明人脈がクローズアップされている。2人の特別秘書の共通点は、まさに公明党だと指摘されるゆえんである。

単なる地域政党では終わらない

 確かに、9月に開催された定例都議会では、小池知事に対し平身低頭の自民党に比べ、公明党はいい距離感で付き合いが始まったかのように見えた。政治ジャーナリストはこう語る。

「小池氏は“政界渡り鳥”と揶揄されますが、選挙に弱く、その都度、宗教団体への支援要請などを行ってきました。だから、東京で公明党を敵に回したくない。それとともに、強固な政党づくりの手本として、公明党の足跡を辿って、それを模倣したやり方をしていくのではないかとみられています。そのためにも、特別秘書2人の存在は欠かせないのだと思います」

 焦って国政進出を目論めば、余計な軋轢が生まれてボロボロになっていくのは、橋下氏と維新の歴史を振り返れば十分理解できるはず。まずは足元を固めて、国政にも影響力が出るかたちにするために、純粋に地域政党づくりからスタートというのが描かれたビジョンだというのだ。しかし、そこは大都市・東京で、単なる地域政党で済む話ではない。

「東京で地域政党をつくってブレイクすれば、国政に大きなインパクトが与えられます。しかも、大阪維新ができて以来、自民党大阪府連の低迷ぶりが示すように、東京都連も壊滅的なダメージが待ち受けていることは必至。すでに、来年の都議選では自民党を離党し、無所属で戦うことを検討している都議が何人もいると聞いています」(前出・政治ジャーナリスト)

 そうなれば、東京五輪まで小池都政は安泰の道をたどるとともに、国政への期待も高まるといった相乗効果が生まれるのだという。急がば回れ――。日本初の女性総理の道も夢ではないとばかりに、百合子旋風はまだまだ続きそうだ。
(文=朝霞唯夫/ジャーナリスト)

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