日ごとに日差しが強くなり、グンと気温が上がってきた。公園では子どもたちがはだしになって走り回っている。だが、「はだしになりたい」という欲求がムクムクと湧いてくるのは、子どもだけではないだろう。
芝生や砂浜をはだしで歩いたときの、えも言われぬ心地よさ。はだしでのびのびと過ごしたい大人もきっと多いはずだ。
はだしになるのは、感覚的に快いだけではない。「脳の働きが活発になる」「体内から病気の原因が取り除かれる」などといったさまざまなメリットがあるようだ。
はだしで走ったら脳の機能が16%アップした
はだしで走ることで脳の働きが活発になり、認知機能が向上したと報告したのは、米ノースフロリダ大学の研究グループである。この研究結果は、『Perceptual and Motor Skills』(2016年4月号)に掲載された。
実験には18~44歳の72人が参加。参加者は、はだしと靴着用の2パターンで走り、ランニング前後のワーキングメモリ(作業記憶)を比較した。
ワーキングメモリとは、情報を短時間保持して、いくつもの情報を処理する能力である。例えば、暗算するとき、数という情報を保持しながら計算という作業を行うので、ワーキングメモリを使用しているのである。また、ワーキングメモリは、多くの認知機能の重要な基盤とされてもいる。
ノースフロリダ大学の研究グループによれば、実験の結果、はだしで走った後はワーキングメモリが約16%アップしたが、靴を履いて走った後は同様の効果を得られなかったという。
靴を履いているときと比べて、はだしの場合は正確に着地してバランスを崩さないように心がける。加えて、地面の危険な物を踏んでケガをしないよう、注意深く集中して走る。こうしたことが脳の記憶中枢を刺激し、ワーキングメモリを向上させた--と研究グループは考察している。
昔から「はだしで歩くと脳に刺激が与えられて活性化する」といわれており、「はだし保育」を取り入れている幼稚園や保育園もある。はだし保育の効果についても、ノースフロリダ大学の研究で科学的に裏付けされたといえるだろう。