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秋田県、学力テストで全国1位の理由…小学校のスゴい授業

文=喜屋武良子/清談社
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秋田県の学校ではどんな授業が行われているのか

 では、秋田県はどんな方法で子どもたちの学力をアップさせているのだろうか。

 矢ノ浦氏によれば、秋田県の子どもたちがB問題で高い正答率を収めることができたのは「表現する機会の多い授業によるところが大きい」という。

「秋田県の授業では、子どもたちが“表現”する機会が非常に多いのです。一般的に、『人は思考し、判断し、表現する』と考えられており、『表現をしなくても、思考している』と考えられます。しかし、『表現の場があってこそ、初めて思考と判断が明確な形をもって現れる』のであり、表現する場が多いことが思考力育成には不可欠なのです」(同)

 漠然とした思考が、表現するときには明確な思考と判断を迫られるからこそ、秋田県では、その表現の場を授業でより多く与える。その結果、思考・判断・表現がともに鍛えられるわけだ。

 もう少し、授業の内容を具体的に見ていこう。通常、学校の授業というのは教師から生徒へ一方的に、正しい解答にたどり着くための知識や方法が与えられる場合が多い。ところが、秋田県ではクラス全体で話し合いながら問題の解決法を探っていくケースが多いという。

「以前、秋田県で小学3年生の算数の授業を取材したとき、3ケタの割り算の筆算を初めて学習する際、教師は『割り算の筆算はどうやると思う?』と問いを出したのです。

『初めて学習するのだから、間違えても当然だよね』と、子どもたちが安心して発言できる環境を整えた後、過去に学習した足し算やかけ算の筆算を確認し直した上で一人ひとりが方法を模索し、『こんな考え方で、ここまではできそうだ』というそれぞれの考えを重ね合わせながら、筆算の方法を子どもたちがつくり出していったのです。算数の考え方自体をつくり出すような授業ですね」(同)

 また、そのような授業の過程で、誤答を取り上げながら「どう改善をすれば、正答にたどり着くか」について、児童同士で話し合うことが多いという。

「誤答が出た場合、これまでも全国の多くの授業では『違います』と否定されて、終わりです。しかし、秋田県では『なぜ違っているのか』『どうしたら正しい答えになるか』を、子どもたちが考えを出し合い学び合います。また、誤答した子どもには『○○君のおかげでみんながたくさん考えられたね。ありがとう』とフォローし、価値づけているのです」(同)

 低学年のうちから、このように安心して発言できる場を与えていくからこそ、間違いを恐れず、自ら思考し、表現しながら学ぶ子が育つ。それが、無解答率の低さにも表れているというのだ。

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