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秋田県、学力テストで全国1位の理由…小学校のスゴい授業

文=喜屋武良子/清談社
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秋田県に秀才が多い理由は「方言と出稼ぎ」?

 なぜ、秋田県はこのような授業スタイルを取り入れたのか。その理由については、矢ノ浦氏も「明確にはわからない」と話す。

「いつどのようにして、表現の場を保証し誤答も大事にするような授業スタイルが広まったのかは、秋田県の多数のベテラン教師に聞きましたがわかりませんでした。ただ、秋田県は1961年から66年にかけて行われていた昭和の学力テストの結果が最下位レベルでした。

 そのため、教師が一方的に指導するよりも子どもの実態に基づいて授業づくりをしていく考え方にシフトしたことが、当時の同県教育研究所の資料からも読み取れます」(同)

 また、表現させる機会が多い授業づくりについては、「出稼ぎと県民性」が理由という見方もある。過去、秋田県では出稼ぎに行く県民が多く、「『口が重い』と言われる秋田県民が人の前でもしっかり話すことができるように、表現を鍛える授業スタイルになっていったのでは」という教師もいるようだ。

「はっきりとした理由は特定できませんが、こうした複合的な要因が重なって、今の授業スタイルにつながったのかもしれません。ただし、全国学力テストで成果が出て以降は、秋田県教育委員会主導でこのような授業スタイルが敷衍されたのです」(同)

秋田県民、なぜ低所得&低賃金でも好成績?

 一方、気になるのがお金と教育の関係性だ。「子どもの学力は、親の所得や社会的立場などに影響を受ける」と指摘する専門家は多い。

 しかし、経済産業省の「秋田県の地域経済分析」では、「秋田県の人口当たりの県民所得は、2001年以降240万円前後を推移しており、全国平均、東北ブロック平均に比して低水準である」「秋田県の平均賃金は347万円で、全国439万円と比較して92万円程度低い水準」とされている。それでも、全国学力テストの結果では東京都を上回る成績を収め続けているのだ。

「大学の数や都市部へのアクセスの良さなど、確かに地域によって教育環境には差があります。それでも、学校教育の現場のあり方、特に授業のあり方が変われば、どの地域でもB問題に対応する力が上がる余地は十分にあると考えられます」(同)

 教育の現場次第で、地域資源に関係なく子どもの学力は向上する――。全国学力テストに表れる秋田県の好成績は、少なくともその可能性を示しているといえる。何かと「格差」が話題になる社会のなかで、なんとも希望が持てる話ではないだろうか。
(文=喜屋武良子/清談社)

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