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イオン、総合スーパーの利益率「ほぼ0%」の衝撃…不動産事業の利益額がスーパー上回る

文=編集部
イオン、総合スーパーの利益率「ほぼ0%」の衝撃…不動産事業の利益額がスーパー上回るの画像1イオン店舗(「wikipedia」より)

 流通大手に共通する悩みは、衣料品や住居関連、食品などを軒並み扱う総合スーパー(GMS)の不振だ。ファストファッションなどに押されて衣料品の落ち込みが大きいほか、食品も専門の食品スーパーに比べて小回りが利かず、それぞれの店の特徴を出せないでいる。

 ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)とディスカウントストア大手のドンキホーテHDは17年8月、資本業務提携した。同年11月、ユニー・ファミマHDがGMSを運営する100%子会社、ユニーの株式のうち40%をドンキHDに売却した。

 GMS「アピタ」と「ピアゴ」の6店舗を、18年2月から3月にかけて「MEGAドン・キホーテ UNY」に業態転換した。

 ドンキHDが発表した6店舗の18年3月における実績(速報ベース、概数)は好調だ。前年比で売り上げは2.5倍の18億円、一日当たりの客数は2.2倍の4万4000人、売上高から売上原価を差し引いた粗利益は2倍の3.6億円に増えた。業務提携は好スタートを切った。

 ユニーは既存店の店内のディスプレーの表示や商品の陳列をドンキ方式にあらためる。ユニーはGMSのドンキ化に活路を求めた。

イオンのGMSは黒字転換

 流通最大手イオンの18年2月期連結決算は、売上高に当たる営業収益が前期比2.2%増の8兆3900億円、営業利益は13.8%増の2102億円、純利益は2.2倍の245億円だった。

 主力のGMS事業の損益改善が進み、営業利益が6期ぶりに過去最高を更新。販売管理費の削減や自主企画(プライベートブランド)商品「トップバリュ」シリーズの値下げ・刷新が奏功した。

 GMS事業の営業収益は前期比0.6%増の3兆842億円、営業利益は105億円。その前の期の13億円の赤字から118億円収益が改善したことになるが、営業収益に対する営業利益率は約0.3と低い。GMSの中核を成すイオンリテールの営業収益は2兆1978億円、営業利益は118億円で34億円増えた。ただし、関東・近畿、名古屋の旧ダイエーのGMSであるイオンリテールストアは72億円の営業赤字、九州の旧ダイエーのGMSを引き継いだイオンストア九州は14億円の営業赤字だった。

 マックスバリュブランドで全国展開している食品スーパーの営業収益は前期比0.7%増の3兆2409億円、営業利益は307億円で29億円減った。旧ダイエーの店の営業収益が6.8%減の2929億円、営業赤字が52億円と水面下から抜け出せずにいる。

 ショッピングセンターを運営するイオンモールのデベロッパー事業がイオンの収益を下支えしている。営業収益は6.2%増の3356億円、営業利益は515億円で46億円増えた。デベロッパー事業の営業利益はGMSと食品スーパーのスーパー事業の合計の営業利益を上回った。

 イオンの19年2月期は、営業収益は前期比3.7%増の8兆7000億円、営業利益は14.1%増の2400億円、純利益は42.7%増の350億円を見込んでいる。旧ダイエーのGMSの効率化が一段と進み、採算がさらに改善するとしている。

赤字のイトーヨーカドーはイズミと提携

 セブン&アイHDの18年2月期の連結決算は売上高にあたる営業収益が3.5%増の6兆378億円、営業利益は7.4%増の3916億円、純利益は87.2%増の1811億円だった。4期ぶりの増益で、14年2月期の最終利益(1756億円)を上回り過去最高を更新した。海外コンビニエンスストア事業が好調だった。

 スーパーストア事業は営業収益が2.5%減の1兆9011億円、セグメント営業利益は5.1%増の212億円。GMSの主力であるイトーヨーカドーの営業収益は0.8%減の1兆2442億円、営業利益はどうにか30億円の黒字を維持したものの、最終損益は58億円の赤字(前期は137億円の赤字)と水面下に沈んだままだ。

 セブン&アイHDは、イトーヨーカドーの再生策を打ち出した。4月5日の決算発表の席上、中国地方を地盤とするイズミと業務提携すると発表した。

 イズミはショッピングセンター「ゆめタウン」など200店を展開。中国を拠点に四国、九州に進出して成功した。九州地区ではイオンモールとゆめタウンがショッピングセンターの2強といわれる存在になった。

 イズミの18年2月期の営業収益は前期比4.0%増の7298億円、営業利益は7.9%増の384億円、純利益は58.3%増の269億円。営業利益はイオンリテール、イトーヨーカドーを上回る。

 中国地方でただ1店あるイトーヨーカドー福山店を、来春をめどにイズミが引き継ぐ。今後は両社での共同出店やプライベートブランド(PB)の供給を計画する。

 セブン&アイHDの狙いは、イオンに決定的な差をつけられているショッピングセンターの強化にある。スーパーからショッピングセンターへの業態転換に成功したイズミのノウハウを取り入れ、イトーヨーカドーの再生につなげる。

 セブン&アイHDの取締役で、創業家の次男である伊藤順朗氏が、イズミとの提携のお膳立てをした。祖業であるイトーヨーカドーの抜本改革は、創業者である伊藤雅俊名誉会長への遠慮もあって、なかなか進まなかった。創業家の次男は、外部の力を借りて再生に取り組むことになる。
(文=編集部)

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