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金曜夜は『チアダン』でひたすら心を洗われよう

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『チアダン』公式サイトより

 土屋太鳳主演の連続テレビドラマ『チアダン』(TBS系)の第2話が20日に放送された。

 広瀬すずが主演を務めた同名映画の9年後の世界を描く物語だが、舞台となっているのは映画版とは別の高校。映画で描かれた福井中央高校のチアリーダー部「JETS」の打倒を目指してチアダンス部を一からつくり、全米優勝の夢に向かって奮闘する福井西高校の女子生徒たちを描いている。

 第2話では、藤谷わかば(土屋)と桐生汐里(石井杏奈)の2人からスタートしたチアダンス部が部活として認められるのに必要な8人の部員を無事に集め、漆戸太郎(オダギリジョー)が顧問を引き受けてくれたことで正式に部活としての体裁が整うところまでを描いた。

 スカウトに来たわかばと汐里を当初は無視していた柴田茉希(山本舞香)が汐里の口説き文句に心を動かされて加入したり、新しい部活を立ち上げるなんて無理だと冷たくあしらっていた桜沢麻子(佐久間由衣)が部員に加わったりと、第1話の時点で「どうせ仲間になるんだろうな」と見え見えだったキャラクターが予想通りキッチリと仲間になっていく流れは、安心して見ていられる。

 中でも、全校生徒の前でダンスを披露して部員を集めようとするも部の成立までには1人足りず、もはやこれまでか、という場面は良かった。この状況を受けて、「7人では足らんのう」と大きく聞こえるようにつぶやく麻子。新たな部活を作りたくない教頭(木下ほうか)もすかさずそれに乗り、「というわけで残念ながら……」と言いかける。しかしその瞬間に麻子はすっと立ち上がり、「私が8人目になります」と全校生徒の前で宣言したのだ。

 麻子が部員になることは、放送前から公式サイトや各種番宣でネタバレしていただけに、チアダンス部の設立に反対していると見られていた麻子がこの場面でそれを覆し、加入を宣言するだろうと予想した視聴者も多かったはず。「7人では足らんのう」からの流れで、自分が8人目になると言うのだろうと思ったら、まさにその通りのことを言ってくれた。このベタベタな青春ドラマ感が苦手だという人もいるだろうが、筆者は時代劇にも似た一種の様式美として心地よさを感じた。

 時代劇なら悪役の存在が欠かせないが、このドラマではあまり悪意が描かれない。これも心地よさを感じさせるポイントだ。その最たる例が教頭の存在だ。当初は「チアダンス部をつくりたい」というわかばたちの訴えに耳を貸さず、顧問を引き受けるかどうかで悩む太郎にも「撤回すればいい」とささやくなど、一見すると典型的な悪役のように振る舞う様子が描かれた。ところが、実際は教師たちの負担をこれ以上増やさないために、新たな部活に反対していることがわかってきた。わかばたちにとって嫌な存在であることに変わりはないが、そんな教頭も自分一人になった場所では「あーもうやってられんわー。いやなことを言うのは全部オレの役目」とぼやく、憎めない存在だ。

 顧問になろうと決心した太郎が、反対していた妻・今日子(松本若菜)にそれを打ち明けた場面も「悪意」の存在しない温かなシーンだった。太郎は前任の高校で熱血ぶりが裏目に出て生徒たちから攻撃され、心を病んでしまった過去がある。今日子はそんな太郎を気遣い、「(顧問なんて引き受けたら)絶対ダメだよ。もうがんばらないって約束したよね」とキツく釘を刺していた。それなのに、太郎は妻の忠告を無視して顧問を引き受けてしまった。普通なら、これはもうどえらい修羅場になりかねない状況である。

 太郎は顧問になろうと決めた理由について、「現実の厳しさを伝える大人は世の中にいっぱいいる。ほやけど、夢を伝える大人ももっといてもいいと思うんや」と話す。それを聞いた今日子は一瞬ぷくっと頬を膨らませて唇を固く結ぶが、間を置いて「大人の役目だと思う。それも」とつぶやく。それからくしゃくしゃの笑顔になり、「そんなことだと思ってた。なんで今まで黙ってたの」と答えた。互いを信頼し合っている夫婦の姿はさわやかであり、ほほえましい。

 2つの例を挙げて「悪意が描かれない」と書いたが、実際には劇中でわずかな悪意は描かれている。わかばがもともと所属していたチアリーダー部の女子生徒たちはチアダンス部をやたらとバカにしているし、麻子がチアダンス部への加入を宣言した時には、男子生徒たちが「似合わねえ」「あの委員長が?」とバカにして笑い始めた。

 だが、これも番宣などでネタバレしていることだが、チアリーダー部の生徒たちはどこかの時点でチアダンス部の仲間になるし、麻子を笑った男子生徒たちはその場でわかばに「人がやりたいことを笑うな!」と一喝されて静まった。要するに、このドラマでは悪意が長続きしないのだ。言い方を変えれば、おおむね善良な人たちが繰り広げるドラマなのだと思う。こういう、ひたすら心が洗われるようなドラマもたまにはいい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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