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『絶対零度』最終回はひどい出来だ…突っ立ってるだけの上戸彩は無意味で邪魔なだけ

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 連続テレビドラマ『絶対零度 未然犯罪潜入捜査』(フジテレビ系)の最終回が10日に放送され、平均視聴率は10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。このドラマは、元公安のエリート・井沢範人(沢村一樹)率いる「未然犯罪捜査班(ミハンチーム)」の活躍を描く物語。警察が極秘に開発した「未然犯罪捜査システム(ミハンシステム)」が割り出した情報に基づき、殺人事件を未然に防ぐのが彼らの任務だ。全10話を通した平均視聴率は10.6%で、月9で刑事ドラマを放送する試みは、ある程度成功したといえる。

 最終回は、1年前に失踪した後に海外で死んだとされていた桜木泉(上戸彩)にまつわる謎が焦点となった。大半の視聴者が当初から予想していた通り、桜木は実は生きていた。さらに、何やらミハンチームの周辺をかぎ回っている形跡もあった。桜木が失踪した理由はなんなのか、なぜ生死を偽る必要があったのか、ミハンチームの何を調べているのか――。これらの謎は第9話まで一切明かされず、すべてが最終回に積み残されていた。

 最終回に解き明かされるべき謎はほかにもあったため、「すべてを回収できるのか」と心配した視聴者も少なくなかったはず。筆者も「真の結末は劇場版で」というパターンすらあるのではないかと危惧していた。しかしながら、幸いにと言うべきか、最終回で明かされた真実は、それほど複雑なものではなかった。

 桜木は1年前、同僚の赤川刑事(須田邦裕)とともに東堂定春(伊藤淳史)に招集された。ミハンシステムの実用化に向けた極秘捜査に当たるためだ。ところが、最初のテストケースでミハンシステムが危険人物としてはじき出した谷口正博(斉藤佑介)は、無実の人間だった。それを知らない赤川は谷口を射殺するが、のちに自分が無実に一般人を殺してしまったことを知る。良心の呵責に耐えかねた赤川は真相を公表しようとするが、間もなく不審死を遂げる。赤川が何者かに消されたと直感した桜木は、自分の存在をこの世から抹消し、ミハンシステムの裏にある警察内部の闇について独自の捜査を続けていたのだ。

 これが、第1話の前にあった出来事だ。この失態は警察内部で、なかったこととしてもみ消され、あらためて井沢らがミハンチームの捜査員として招集された。第1話はここから始まっている。

 ミハンシステムの誤りをもみ消したのは、警察庁の町田次長(中村育二)だった。ミハンシステムの実用化を手柄に長官の座を狙う町田にとって、「ミハンシステムに誤りがあった」という事実は、なんとしても隠蔽する必要があった。そこで町田はならず者を密かに雇い、この件を知る人物を次々に消した。元監察官だった井沢の妻も、赤川からこの件を聞いてしまったために殺されたのだった。

 一番の黒幕が警察の上層部にいたという図式に目新しさはないが、逆に言えばそれだけドラマの終わらせ方として収まりがいいということだろう。刑事ドラマで使い古されたパターンを最後まできっちりなぞったフジテレビの割り切り方は、ある意味評価したい。

 とはいえ、不満は残った。最終回だけで桜木に関する謎を一通り回収し、話としてはよくまとめたと思うのだが、「そもそも前作の主人公である桜木泉を出す必要があったのか?」という根本的な疑問がぬぐえないのだ。最終回で少しは見せ場があるのかと思いきや、ムスッとした表情でずっと突っ立っているだけ。上戸の演技もミハンチームの面々と全然かみ合っておらず、「ちょっと顔だけ出しました」感がありありと見えた。もし桜木を無理に今作に絡ませることなく、別の世界観のドラマとしてつくっていれば、もっと深い最終回になったはずだ。直前に登場してきた人物に焦点が当たり、しかもその人物がほとんど何もしないまま終わった最終回というのは、冷静に考えると結構ひどい。まあ、『絶対零度』の続編という位置付けのおかげで視聴率を確保できた面もあるのかもしれないので、「上戸彩不要論」はここまでにしておこう。

 さて、井沢の指揮のもと、引き続きミハンシステムに基づく捜査が継続されるという結末になったことで、続編が作られる可能性も出てきた。ただ、チームを構成する警察官たちの過去を描き切ってしまい、桜木にまつわる謎もすべて解決してしまったため、続編で描くネタがあるのかといえば微妙ではある。しかしながら、『緊急取調室』(テレビ朝日系)のように、シーズン1で主人公の過去を描き切り、シーズン2では普通に一話完結の刑事ドラマに転換した例もある。ビッグデータを基に犯罪を未然に防ぐという設定自体はおもしろいので、純粋な刑事ドラマとしてシーズン4がつくられることを望む。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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