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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

プリンスホテルvs田端プリンスホテル、全面抗争がついに田端プリ敗北で決着

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
プリンスホテルvs田端プリンスホテル、全面抗争がついに田端プリ敗北で決着の画像1「田端プリンスホテル公式ツイッター」より

“バタプリ”が消える――。

 本連載で4月と6月に報じた「田端プリンスホテル」に対するプリンスホテルの名称差止問題が、ついに決着。田端プリンス側は非を認め、「プリンスホテル」の名称を使用しないことで和解した。

「当社の正当な主張が全面的に認められた」(プリンスホテル関係者)

 問題は決着となったが、強く抵抗していた田端プリンスの姿勢を考えると、あまりにも“呆気ない”結末だった。

 そもそもこの問題は、4月1日にオープンした東京都北区田端新町のホテルが田端プリンスホテルとの名称を掲げたことから始まった。すぐに、西武ホールディングスのホテルチェーンであるプリンスホテルはホームページを通じて、田端プリンスはプリンスホテルグループとは一切関係がない旨の告知をした。

 さらに、プリンスホテルは田端プリンスに対して抗議を行い、「名称差止」の通告書を出した。これに対して、田端プリンス側は頑なに「問題はない」と主張した。当サイトの取材に対しても、田端プリンスのオーナーの大朝氏(中国出身で中国名は王)は、「日本全国にプリンスホテルと関係がなくても、プリンスホテルと名乗っているホテルはたくさんある。ウチだけかなという不公平感がある」と主張していた。

 また、その後にはプリンスホテルの名称を用いた理由について、「王という名前からプリンスと付けた」と説明した上で、「プリンスホテルとは関係なく、ロゴもまったく違う」と主張していた。

 これに対して、プリンスホテルは6月6日に名称差止めの訴訟を提起した。7月12日には第1回口頭弁論が行われたが、この時点ですでに田端プリンス側は勝ち目がないことを悟っていたのか、9月6日、田端プリンス(運営会社はモクラス株式会社)はプリンスホテル側の請求を全面的に認めるかたちで和解した。

 主な和解内容は、以下の通り。

(1)田端プリンスはプリンスホテルやプリンスホテルの名称(英語表記を含む)およびその一部も今後一切使用しない。
(2)9月27日までに(和解から3週間以内)に田端プリンスのHPからプリンスホテルやプリンスホテルの名称を削除する。
(3)12月5日までに(和解から3カ月以内)に田端プリンスの看板、パンフレット、チラシ等広告宣伝物、ルームキー、アメニティ、リネン等備品類を廃棄する。
(4)今後の田端プリンスの広告物にもプリンスホテルとは無関係である旨の文言を明記する。
(5)被告が出願している商標を取り下げる。

 田端プリンスは英語の表記を「THE PRINCE TABATA HOTEL」としている。「THE PRINCE」という表記は、プリンスホテルでも国内に5カ所しかない高級ブランド。英語表記を強く使用差し止めにした理由はそこにある。

 しかし、9月13日時点、田端プリンスのホームページ上では、名称の使用禁止という重大事に関して一切の告知はなく、田端プリンスは期限の9月27日まで“プリンス”効果を目一杯活用するつもりなのだろうか。

 プリンスホテルにとっては、請求を全面的に認められる和解となったが、田端プリンス側が和解事項を誠実に実施するかを確認するまでは、まだ安心できる状況とは言えなさそうだ。プリンスホテル関係者が“枕を高くして眠れる”ようになるまでは、今少し時間が必要だ。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

鷲尾香一/ジャーナリスト

鷲尾香一/ジャーナリスト

本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。

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