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『黄昏流星群』唯我独尊の傑作ドラマ…不倫批判の日本社会に異議、全員不倫の末に幸せな結末

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『黄昏流星群』公式サイトより

 連続テレビドラマ『黄昏流星群』(フジテレビ系)の最終回が13日に放送され、平均視聴率は前回から0.9ポイント減の6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。同じくこの日最終回を迎えた『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)が延長で『黄昏流星群』の開始時刻にかぶったことも関係していると思われる。全話平均視聴率は6.7%で、あと1話残している『中学聖日記』と同率となっている。

 このドラマは、挫折を経験した元銀行員・瀧沢完治(佐々木蔵之介)と、孤独な人生を送ってきた目黒栞(黒木瞳)を中心に、人生や恋に葛藤する男女を描く作品だ。きれいな言い方をするとそうなるが、分類としては不倫ドラマである。完治は栞と不倫し、完治の妻・真璃子(中山美穂)は娘の元婚約者・日野春輝(藤井流星/ジャニーズWEST)に心惹かれていく。そして、娘の美咲(石川恋)は大学時代に世話になった教授・戸浪恭介(高田純次)と不倫を続けた末に婚約者と別れ、戸浪とともにロンドンへ旅立つ。つまり、一家3人が全員道ならぬ恋にハマっていくという、なかなかとんでもないドラマであった。

 だが、第9話で栞が完治の前から姿を消したため、2人の関係は自然消滅してしまった。真璃子も、最終回の序盤で春輝の母・冴(麻生祐未)から「息子と別れてほしい」と告げられ、春輝のもとを去る。恋が終わった2人は、何事もなかったかのように互いを受け入れ、夫婦としての平穏な生活が再び始まった。完治と真璃子のラブシーンも描かれ、「夫婦いろいろあったけど、結局元のサヤに戻りました」というエンディングを迎えるかに思われた。

 ところが、この後、真璃子が離婚を切り出して急展開。最終的に完治は栞と再会を果たし、真璃子は春輝との関係を冴から許され、得意の腕を生かしてパン屋で働き始める。美咲からは、ロンドンで教授と楽しく暮らしているとのビデオメッセージが届く。3年後、完治と栞は高原でカフェを開き、真璃子は春輝と交際を続けながらパン職人として生き生きと働いていた。エンディングは、幸せをかみしめながら暮らす2組のカップルの頭上を、流れ星がひとつ通り過ぎた――という場面だった。

 端的に言えば、夫婦それぞれ不倫した末に別れ、不倫相手と結ばれるという結末である。ハッピーエンドではあるものの、倫理的には結構ひどい。だが、最終回の結末に対する視聴者の声はかなり好意的で、「みんなが幸せになれて良かった」「素晴らしいラストだった」「後味の悪い終わり方じゃないのが良い」といった声が多い。筆者も、最近のドラマの最終回としては珍しくきれいな終わり方だったと思う。

 不快感を持たれなかった要因は、いくつかある。まず、完治も真璃子も欲求に素直な部分はあるものの、悪人ではなかったことが大きい。配偶者を大きく欺いて傷つけたという描写はなかったし、逆に相手を非難したり、復讐しようとしたりする描写もなかった。そのため、不倫ドラマが陥りがちなドロドロ展開がほとんどなく、むしろ突拍子もないおもしろ展開をゲラゲラ笑いながら見ていることができた。

 もうひとつの大きな要因は、真璃子の台詞のなかで説明された。離婚を切り出した真璃子は、春輝の存在について「その人がいてくれることが、一番つらい時に支えになった」と完治に話した。これは、完治にとっても同じである。銀行を追われ、倉庫会社に出向した完治の心の支えになったのは、社員食堂で働く栞の存在であった。

「一番つらい時に支えになってくれた人」が配偶者でなく、ほかの異性であったとしたら、それはもう「仕方がない」としか言いようがない。そう言われてしまったら、倫理的にどうこうはさておいて「夫婦を続けるより、その相手と一緒になったほうがいいんじゃないか」と思ってしまう。また、栞は独身で身寄りもなく、病気にもかかっているという境遇のため、視聴者も次第に「このまま一人でいるのはかわいそう」と同情する気持ちになっていた。最終的に完治と幸せになったことで、ホッとした人も多かったのではないだろうか。

 こうして考えると、不倫ドラマでありながら「不倫をすると罰が下りますよ」という、ありがちな結末に陥らず、かといって不倫を美化したわけでもなく、なんとなく“いい話風”にまとめて嫌悪感を抱かせない『黄昏流星群』は、なかなか稀有な作品だったといえそうだ。深読みすると、「配偶者が一番つらい時には、あなたが支えになりましょう」という教訓を与えてくれているようにも思える。ベテラン俳優陣の熱演もあって、愛すべきネタドラマだった。制作陣・俳優陣に「ありがとう」と言いたい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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