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徴用工問題、日本政府「個人の賠償請求権は消滅せず」との見解…安倍首相「解決」は間違い

構成=長井雄一朗/ライター
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「安倍首相は国際人権法の進展を見るべき」

――徴用での労働はひどい環境であったことが伝えられています。現在の外国人技能実習生に近い部分も指摘されています。

 当時、元徴用工の人たちは、たとえば15、16歳の若さで、溶鉱炉にコークスを投入するなどの過酷な作業を強いられていました。感電死の危険もあるような状況でしたが、外出は許されず、食事も粗末で、逃亡を企てると体罰が加えられたそうです。元徴用工の問題は人権問題でもあるのです。

――大法院の判決については「国際人権法に沿った画期的な判決」という評価もあります。

 韓国内では、「正義にかなった良い判決」という評価が大勢ではないかと思います。国際法には400年の歴史がありますが、基本的には侵略と植民地主義を肯定する法、力の支配を認める法でした。また、国際法は国同士の法とされ、たとえば独裁者が侵略戦争を指示しても個人の責任は問われず、他方、被害者個人の権利も救済されてこなかったのです。しかし、特にここ70年ほどで「加害者個人を罰し、被害者個人を救済しよう」という動きがどんどん強まってきています。

 たとえば、イタリアのチビテッラ村におけるナチス・ドイツの住民虐殺事件でも、イタリアの最高裁は「(個人の請求権を)国家間の合意により被害者の同意なく一方的に消滅させることはできない」という考え方を示しています。そう考えると、大法院の判決は個人の人権侵害に対する効果的な救済を図ろうと試みる国際人権法の進展に沿った判決です。安倍首相は「国際法に照らし合わせてもあり得ない判断」と言う前に、国際人権法の進展について目を向けるべきです。

――有効な解決策はあるのでしょうか。

 ひとつの案として、和解基金の設立があります。過去に、鹿島建設(花岡事件)、西松建設が訴訟を契機に基金を設立し、被害者全体の救済を図ったケースがあります。三菱マテリアルは被害者との16年の和解に基づいて現在、基金設立を進めていると報道されています。基金設立にあたっては「当時の被害事実をきちんと認定すること」「その事実に対する法的評価(違法性をきちんと認定すること)」「将来世代への教育」の3つを満たすことが重要だと思います。

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