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ソニー、15年ぶり“国内トップ”の繁栄再来に潜む死角…部品メーカー化の代償

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 2000年代前半のソニーには、こうしたダイナミックな展開を想起させるだけのエネルギーがなかったように思う。平井氏から経営トップを引き継いだ吉田憲一郎CEOがどのようにIoT関連の戦略を進めるか、非常に興味深い。

現在のソニーの稼ぎがしらの金融事業

 
 第3四半期、ソニーは連結ベースで営業増益を確保した。半導体事業の減速を、EMIミュージックパブリッシングの評価益が補った。これは一時的な収益の上振れだ。本業の成長力そのものは、急速に低下しつつある。なお、EMIミュージックパブリッシングは英ロックバンド「クイーン」の著作権をはじめ、有力なコンテンツを所有している。こうした資産をいかにしてIoTビジネスにつなげていくかが、当面の注目点だ。

 もう一つ、ソニーの経営を見るうえで軽視できないことがある。それが金融ビジネスの収益動向だ。ソニーにとって金融ビジネスは、平井氏以前の経営陣が目指した“コングロマリット化(直接関係を持たない事業を複数所有する企業)”の象徴である。1990年代から2000年代、エレクトロニクス分野で競争力を落としたソニーの収益を支えたのが、金融事業だった。

 しかし、モノをつくることと金融ビジネスは根本的に違う。ソニーの半導体売上が、同社の銀行や保険ビジネスの収益獲得に直接結びつくわけでもない。加えて、金融事業の収益は株価の上昇や下落、為替レートの変動などに振り回されやすい。

 第3四半期、ソニー銀行にて有価証券の評価損が発生し、金融ビジネスは大幅減益に陥った。今後の展開を考えると、中国経済の減速などを受けて、有価証券などの運用によって収益を獲得していくことは、これまでにも増して難しくなるだろう。今後の展開によっては、金融事業がさらなる収益の減少に陥り、ソニー全体の収益が悪化することも否定できない。

 このように考えると、ソニーはコングロマリット化を進めてきた経営から、各事業のシナジー発揮を目指す経営への転換期にある。同社は、半導体事業の成長によって獲得してきた経営資源をどのように再配分していくか、真剣に考えなければならない局面を迎えた。半導体事業の成長を支えたスマートフォンというヒット商品の販売台数が減少するなか、ソニーが自力でヒット商品を生み出し、さらなる成長を実現することを期待したい。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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