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山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

金の卵を産むニワトリを使って、最大限の利益を稼ぐ方法…「現在価値」という重要な思考

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント
金の卵を産むニワトリを使って、最大限の利益を稼ぐ方法…「現在価値」という重要な思考の画像1
「Gettyimages」より

 

 イソップの寓話に、こんな話があります。

 ある貧しい農夫の飼っていたガチョウが、黄金の卵を産みました。市場に持っていくと、その卵は純金であることがわかりました。それからもガチョウは一日に一個ずつ金の卵を産み、卵を売った農夫はやがて大金持ちになりました。お金持ちになるにつれ欲が出た農夫は、一日に一個しか産まないことに不満をもち、ガチョウのお腹を切り裂いて、卵を全部手に入れようとしました。しかし、そこにはもちろん金の卵はなく、そのうえガチョウさえも、失ってしまいました。

 この話の教訓は、短期的な利益ばかりに欲が出ると、長期的な利益を生み出す資源を失ってしまうということです。さて、この農夫がもう少し頭を使うことができたら、ほかにどんな選択肢があったでしょうか。方法のひとつはもちろん、毎日金の卵を産むガチョウと辛抱強くつき合うことです。もうひとつ考えられるのは、ガチョウそのものをほかの誰かに売ることです。では、このガチョウの値段をどのようにつけたらよいでしょうか?

 私はガチョウを見たことがなく、黄金の卵の大きさもわからなければ値段もわかりませんので、話を普通の卵を産むニワトリに置き換えて考えてみることにします。毎日ひとつ卵を産むニワトリがいるとします。このニワトリの値段をどうつければよいかを考えてみましょう。

将来生み出す価値を現在の価値に直す

 このニワトリが死ぬまでの間に100個の卵を産むとしたら、このニワトリはお店で売っている卵100個分の値段と同じになるとあなたは考えました。卵一個当たりの値段を仮に20円とすると、このニワトリの値段は2000円、ということになります。しかし、ニワトリに毎日卵を産ませるためには餌を与えなければなりませんし、育てるための設備も必要です。それらのいろんなコストを差し引いて、卵を一個売った時の利益を10円とすると、このニワトリの値段は10円かける100個で1000円、ということになります。

 ニワトリの適正な値段がわかったと考えたあなたは、ニワトリを売りに行きました。すると、相手はこう言います。

「本当にこのニワトリは100日間卵を産み続けるのか、病気で死んでしまうことはないのか」

山崎将志/ビジネスコンサルタント

山崎将志/ビジネスコンサルタント

ビジネスコンサルタント。1971年愛知県生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。コンサルティング事業と並行して、数社のベンチャー事業開発・運営に携わる。主な著書に『残念な人の思考法』『残念な人の仕事の習慣』『社長のテスト』などがあり、累計発行部数は100万部を超える。

2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。


最新刊は『儲かる仕組みの思考法』(日本実業出版社)

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