2019年5月10日の参院本会議で、低所得者世帯を対象に大学など高等教育を無償化する「大学等における修学の支援に関する法律(大学等修学支援法)」が可決、成立した。これによって、大学などの高等教育の無償化制度が2020年4月1日からスタートする。ちなみに、そのための財源となるのは、2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ分だ。
子どもの教育費は、幼稚園から大学卒業までオール公立でも、子ども一人につき1,000万円以上かかるといわれている。なかでも大学にかかる費用は、国立大学(自宅通学)の場合で約517万円、もっとも高額な私立医歯系(自宅外通学)の場合で約3,000万円と費用全体のうち、かなりの割合を占める(※)。
今回の大学無償化によって、これがどれだけ軽減されるのか? 学資保険や積立等で準備する必要がなくなるのか? など、法整備の行方が気になっている保護者の方も多いだろう。そこで今回は、大学無償化とその影響、今後の教育資金プランの考え方についてご紹介しよう。
※出所:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成29年1月)」、文部科学省「私立大学等の平成29年度入学者にかかる学生納付金等調査結果について」、日本学生支援機構「平成28年度学生調査結果(昼間部)」等
大学無償化は二本立て
まず、肝心の大学無償化の支援内容についての概要である。支援策は、主に「授業料等減免制度の創設」と「給付型奨学金の支給の拡充」の二本立てで行われる。
(1) 授業料等減免制度の創設
まず、授業料免除について対象となる学生の在学する学校の種類等によって、上限額が決められ、以下の通りとなっている(【図表1】参照)。この上限額については、国公立の場合、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」の標準額まで減免されているので、上限額に該当すれば、国公立の授業料・入学金はほぼ全額免除されると思っていてよさそうだ。
私立大学の場合、学科による違いはあるだろうが、おおむね4分の3程度の授業料と入学金が免除となっている。ただし、年収要件があり、この上限額が適用されるのは、目安として学生本人、中学生、両親の4人家族で年収270万円未満の住民税非課税世帯の場合。年収270~300万円未満世帯はその3分の2、年収300~380万円未満世帯は3分の1の支援が受けられる。