
日本と韓国が、半導体材料の輸出規制強化をめぐり対立を深めている。7月12日には東京・霞が関の経済産業省内で、日韓両政府の事務レベルによる会合が開かれた。この会合は、当初想定されていた1時間を大幅に超え約5時間半にも及んだが、韓国メディアは日本の“冷遇”ぶりを相次いで強調した。
「会議の場所も整頓された所ではなかった。テーブルと簡易椅子が一隅に積み上げられ、床には機材の破損の跡が残っていた」(韓国紙「ハンギョレ」日本語版サイト)
「小さい倉庫のような会議室のテーブルの上には名札も、飲み物もなかった。壊れた椅子が会議室の隅に積まれていた」(韓国紙「中央日報」日本語版サイト)
実際、冒頭1分間撮影されたという会合のニュース映像を見ると、会場となった部屋の奥にはパイプ椅子が積み上げられ、床にも汚れが目立つ。服装も、韓国側がスーツ姿なのに対し、日本側は半袖ワイシャツのクールビズスタイルだった。
こうした日本側の“意図”について、全国紙経済部中堅記者は、「日本側としてはあくまでも、政府高官レベルによる『協議』ではなく、事務レベルによる『説明会』だというスタンスを強調し、そのレベルの対応を取ることにこだわったのでしょう」と解説する。
経産省関係者も、「そもそも今回の件を事務レベルの『説明会』ということで押し切ったことの是非はおくとして、課長クラスへの来客であれば、あの対応は普通のことで、冷遇というほどのことでもないと思いますよ。今は、国家公務員試験合格者の希望官庁への官庁訪問の期間なので、ちょうどよい応接スペースがなかったということも考えられます。まあ、そもそもの話として、普段から来客対応をもう少しよくしたほうがいいんですけどね……」と打ち明ける。
課長クラスなら、よくあること
まず、問題となったあの会談場所だが、経産省では、課長クラスへの来客の場合、大手企業の応接間のようなきちんとした場所が用意されることはあまりないという。実際に経産省を訪れたことがある大手企業幹部は、「経産大臣ならば当然、立派な専用の応接間があり、副大臣や局長クラスでも自室内に簡単な応接スペースが用意されています。ですが課長クラスだと、自由に使えるような応接間はそもそもなく、企業幹部が訪問しても、執務スペース脇のちょっとした会議スペースがいいとこ。場合によっては、自席脇にパイプ椅子を置いて、そこで話をさせられることも珍しくないですからねえ」と話す。
ちなみに今回の会場となった会議室は、経産省内の会議や審議会などでよく使われており、会議や打ち合わせ中も、問題となったあの写真のように、使用しない椅子は部屋の片隅に積み上げられていることも日常的な光景なのだという。
また、場所と同様に問題となった、韓国側と対峙した経産省課長のあの格好だが、経産省では夏場はクールビズスタイルが徹底されているため、半袖ワイシャツでノージャケットという姿は一般的だという。前出の企業幹部も、「東京電力福島第一原発事故後、外部からの批判を避ける意図もあって、省庁の中でも経産省は特に省エネが徹底されています。そのため経産省内の冷房温度は高めに設定されていて、室内は時に蒸し暑いほど。来客時にも、ジャケットなどを着ずに対応することは珍しくない。ジャケットを着用していた韓国側は、かなり蒸し暑い思いをしたのではないでしょうか……」と話す。