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山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

気分や日々使う言葉、仕事のパフォーマンスを大きく左右との研究結果

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント
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 学生を部屋に呼んで、この2種類のどちらかが入った単語の並べ替えテストを受けさせます。もちろん、学生には実験の目的は伝えられていません。テストが終わると学生は、別の部屋にいる次の実験の担当者のところに行くように指示を受けます。学生が次の部屋に行くと、担当者はすでに部屋の中にいるもう一人の相手をするのに忙しく、すぐには話しかけにくいように仕掛けられています。ドアを開けるともう一人が入り口を塞いでいるのです。

「礼儀正しさ」に関連する単語ばかり見た学生のほうが、「無礼さ」に関係する単語を目にした学生よりも、担当者の会話に割って入るまでの時間が長いかどうかを知ろうという実験です。

 心理学者はもちろん差が出るはずだとは思っていましたが、それは微妙な差であろうと想定していました。せいぜい何十秒かの差、多くても1分程度だろうと考えていました。

 しかし、その予測は大きく外れました。無礼さに関係する単語を見た学生は、平均で5分経ってから会話を遮りました。一方、礼儀正しさに関係する単語を見た学生の圧倒的多数が、10分経っても割って入ろうとしなかったといいます。ちなみに、別室の担当者ともう一人の助手は、学生の訪問に気付かないふりをして、最大10分間徹底的に無駄話をするように求められていました。無駄話ですから、天気の話やスポーツの話、書類の書き方についての細かい話です。当然実験台になった学生にも聞こえていますから、大事な仕事の話をしているかどうかはすぐにわかります。それでも礼儀正しさに関係する単語を見た学生のほとんどは、しっかり10分辛抱強く待ったのです。

プライミング効果

 このような結果をもたらすのは、プライミング効果によるものです。プライミング効果とは、ある刺激の処理が、その後に来る刺激の処理を促進または抑制する効果のことをいいます。

 このプライミング効果を活用すれば、自分の仕事のパフォーマンスを上げられる可能性があると私は思います。

 オランダでこんな実験が行われました。雑学クイズのゲームから難問ばかりを数十問集め、学生のグループに解かせました。例によって学生のグループは2つに分けられました。一つのグループはゲームを始める前の5分間に教授になることについて考えさせ、頭に浮かんだことのすべてを書き留めるように指示しました。この学生たちの正答率は56%でした。

 もう一つのグループには、ゲームの前にサッカーのフーリガンについて考えさせました。彼らの正答率は43%でした。もちろん、2つのグループは学力や集中力の偏りがないように構成されていましたから、教授について考えたグループがフーリガンについて考えたグループよりも、優れていたわけではありません。

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