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半年の宇宙滞在で視力1.0→0.2に低下…「骨量減少」問題の解決に金魚のウロコがカギ

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半年の宇宙滞在で視力1.0→0.2に低下…「骨量減少」問題の解決に金魚のウロコがカギの画像1
国際宇宙ステーション(提供=NASA)

 人類の宇宙空間の最長滞在記録はロシアの宇宙飛行士ワレリー・ポリャコフ氏の438日間です。国際宇宙ステーション(ISS)は1998年の建設開始から21年が経過しましたが、ひとりの宇宙飛行士が宇宙に滞在する期間は数カ月です。それにもかかわらず、地球に帰還した宇宙飛行士にはさまざまな体調の変化が起きていることがわかっています。将来の火星への数年をかけた有人探査や月面基地への永住を考えたとき、ビジネスの大きなフロンティアとなるのが「宇宙医薬品市場」です。

 宇宙空間と地球の環境を比較した場合、もっとも異なるのが重力と放射線です。宇宙空間は無重力状態のため、体を支える必要がありません。また、大気や地球磁場に守られていないため大量の宇宙放射線を浴びます。その結果として、骨や筋肉の減衰や放射線障害が発生します。これらの容易に想像できる宇宙疾患に加え、近年、目への影響が重篤であることがわかってきました。

 長期間、宇宙に滞在した宇宙飛行士の多くが視覚障害に悩まされています。この疾患は2005年にアメリカ航空宇宙局(NASA)によって発見され、視覚障害脳圧症候群と呼ばれます。たとえば、地上では視力1.0だった宇宙飛行士が半年間ISSに滞在すると、視力が0.2まで低下していたこともあります。MRIによる精密検査の結果、眼球の後部が平らに押しつぶされて変形していることがわかりました。

 窪田製薬ホールディングスの報告によると、無重力状態によって脳脊髄液分布に異常が生じ、目の奥の脳脊髄液量が異常に多くなり、眼球の後ろにかかる圧力が高くなることが原因だとわかりました。

 残念なことに、現時点ではこれを防ぐ方法も、いったん発症した視覚障害脳圧症候群を治療する方法も見つかっていません。宇宙船内部に人工重力を生み出すことは解決策のひとつかもしれませんが、SF映画で登場するような遠心力を発生させる回転体による人工重力技術が開発されるのは遠い未来のことと思われますし、果たして本当にそれで解決するのかどうかも未解明です。

医薬品の広大な新市場「宇宙医薬品」

 一方、金沢大学、東京医科歯科大学、岡山大学、富山大学の共同研究グループは、長期間宇宙空間に滞在した宇宙飛行士の骨の減少をメラトニンで抑えられることを明らかにしました。メラトニンは体内時計、サーカディアンリズムを調節する物質です。

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メラトニンの構造式

 骨は常に新陳代謝しており、古くなった骨は破骨細胞によって溶かされて吸収され、吸収された部分を補修するように骨芽細胞が新しい骨を形成し、この骨吸収と骨形成が全身の骨で常に繰り返されています。破骨細胞と骨芽細胞の働きがバランスが取れている場合は骨は健康な状態にありますが、加齢や病気などで骨芽細胞よりも破骨細胞が優勢になると、骨の量が減って骨がもろくなります。骨粗しょう症も同様の状態です。

 宇宙空間は重力が小さく、骨で体を強く支える必要がなくなることから、地球上で暮らすようにデザインされた骨の量ではオーバースペックとなり、宇宙飛行士の体では破骨細胞の活性化による骨量の低下が発生します。これは地球に帰還した際に大きな問題となり、今後、人類が一般人まで宇宙に出ていく時代になることを考えると、解決策を用意しておく必要があります。

『宇宙と地球を視る人工衛星100 スプートニク1号からひまわり、ハッブル、WMAP、スターダスト、はやぶさ、みちびきまで』 地球の軌道上には、世界各国から打ち上げられた人工衛星が周回し、私たちの生活に必要なデータや、宇宙の謎の解明に務めています。本書は、いまや人類の未来に欠かせない存在となったこれら人工衛星について、歴史から各機種の役割、ミッション状況などを解説したものです。 amazon_associate_logo.jpg

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