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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国、GSOMIA破棄は自殺行為…日本への影響はほぼ皆無、対韓輸出規制強化も

文=渡邉哲也/経済評論家
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GSOMIAの破棄を発表する韓国の金有根国家安保室第1次長(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の一方的な破棄を宣言した。GSOMIAは、同盟国など親しい関係にある2国あるいは複数国の間で軍事機密を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定であり、日本はアメリカやイギリスなど7カ国と、アメリカは60カ国以上と、韓国は21カ国と締結している。

 日韓間のGSOMIAは2016年11月に署名され、1年ごとに更新されてきた。どちらかが破棄を事前に通告しない限りは自動延長される仕組みだ。日韓GSOMIAは、日米韓の軍事的連携を強化する上で非常に大きな役割を果たしてきた。日米間および米韓間では安全保障条約が結ばれているが、日韓間では安保条約が存在しない。そのため、軍事機密に関してはアメリカを介する形になっていたが、日韓GSOMIAの締結により、日本と韓国は直接的に情報を交換することが可能になっていた。しかし、韓国は日本との間で唯一結ばれていた安全保障上の協定を破棄したのだ。

 東アジア情勢を考えた場合、日韓GSOMIAでもっとも重要になるのは、北朝鮮の弾道ミサイルのレーダー情報や発射準備情報などだ。しかし、現実には衛星網などが充実している日本側から韓国側への情報提供が中心であり、日本が韓国から得られる情報は限定されていた。韓国側が日本側に渡せる有益な情報は主に「ヒューミント」と呼ばれる諜報活動を通じてのもので、いわば人的リソースを基に得る情報が多かったのだ。

 しかし、文在寅政権になってから、このヒューミントの担当セクションが解散してしまい、現在は実質的にアメリカが引き継ぐ形となっている。米軍およびアメリカの諜報機関には朝鮮系アメリカ人が多く存在しており、彼らがヒューミントを主導しているといわれているのだ。

 そのため、GSOMIAが破棄されても日本としてはアメリカから情報を得ればいいわけで、影響はほぼ皆無といえる。逆に、韓国は日本から情報を得られなくなるばかりか、今後はアメリカが日本から得た情報を韓国に流すことも難しくなるため、大きなダメージを受けざるを得ないことは容易に想像できる。

 折しも、最近は北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を再開しており、新型兵器の開発も取り沙汰されている。つい先日も、北朝鮮のミサイルの飛行距離を韓国が380kmと発表したが、GSOMIAによる日本からの情報提供で修正したばかりだ。これらの事情に鑑みて、このタイミングでのGSOMIA破棄は韓国の自殺行為といっても過言ではないだろう。

韓国、輸出管理でグループCに格下げの可能性も

 また、韓国はGSOMIAの破棄について、日本が韓国をいわゆる「ホワイト国」から除外したことを理由としているが、そもそも日本の輸出管理強化は世界的な流れの一環であり、アメリカなどと連動した動きである。そして、日本は対韓輸出管理の強化について「安全保障上の問題」を理由としており、実際に韓国が戦略物資をイランや中国に不正輸出していたことが明らかになっている。そのため、元徴用工訴訟の問題への対抗措置などではないのだが、韓国側はそれを理解していないのではないだろうか。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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Twitter:@daitojimari

『「韓国大破滅」入門』 2019年8月2日、ついに安倍政権は韓国を「ホワイト国」から除外した。反発を強める韓国はこれからどうなっていくのか。また、7月に河野太郎外務大臣は「新・河野談話」を発表、かつての河野談話を更新し、着々と韓国を追い詰めつつある。日韓関係の行方はどうなっていくのか? 一方、トランプ政権は戦時統帥権を返還し韓国を見捨てようとしている。在韓米軍撤退で起こる韓国の死活的悲劇とは? 今後の韓国、朝鮮半島、アジアの変化を完全解説! amazon_associate_logo.jpg

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