今起きている過去最悪の日韓関係のありようが、1年前の時点で的確に暗示されていたことになる。韓国の輸出主導の工業国としての発展は「漢江の奇跡」と呼ばれたが、韓国の経済発展の原資は、1965年に締結された日韓基本条約で日本側が経済協力金として支払った無償資金3億ドル、有償資金2億ドル、民間からの商用借款3億ドルで、合計金額は当時の韓国の国家予算(3.5億ドル)の2倍以上にあたる約8億ドルであった。

 韓国側が要求した個人への補償金は無償資金3億ドル(約1080億円)の中に含まれていたが、韓国政府が個人に支払った補償金の総額は当時の日本円で約58億円で、これは3億ドルの5.4%にすぎず、韓国政府は経済協力金の大部分を工場建設などのインフラ整備に投資した。しかも、その事実は2009年8月の情報公開で明らかになるまで、韓国の国民にはまったく知らされなかった。国民に情報を隠し続けた歴代韓国政府の罪は重い。

『反日種族主義』の衝撃的な内容

 記事のなかで予告されていた「李承晩TV」による「反日種族主義を突破しよう」という、連続45回に及ぶネット講座は昨年12月から開始され、動画はYouTubeでも広く拡散されて大きな反響を呼んだ。それは、日本統治時代を知らない韓国人が初めて聞く話だったからだ。

反日の根拠事実否定本が韓国でベストセラー…韓国経済は日本の協力金で発展の画像1

 今年4月からは日本語の字幕も付くようになり、その45回の講座内容を1冊にまとめた『反日種族主義―大韓民国の危機の根源』(李栄薫氏ら6名の共著)が7月に出版され、8月初旬にベストセラー1位となり、早くも重版が決定し、邦訳も進められている。

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ソウル大型書店でベストセラー1位の『反日種族主義』(提供=デイリーNKジャパン)

 内容は衝撃的だ。およそ日本の植民地時代に韓国が被ったとされる被害を全否定し、反日の根拠とされた事実さえ、膨大な資料を基に徹底して批判している。6年前の5月には、ソウル市内の公園で95歳の韓国人男性が泥酔状態の37歳の男に「日本統治時代は良かった」と発言し、激高した男に殴り殺される事件が起きている。無罪を主張した男には懲役5年の判決が言い渡されたが、ネット上には「裁判官は売国奴」「親日老人は死んで当然」などというコメントがあふれるなど、いわば韓国は「反日無罪」の国である。ここまで言って、身の危険がないはずがない。

 しかし、韓国は自ら過ちに過ちを重ね、文在寅政権が自縄自縛に陥ったことで、今こうした保守派の発言には追い風が吹いているのだという。韓国の済州島出身で、1998年に日本に帰化した拓殖大学国際学部の呉善花(オ・ソンファ)教授は以下のように語る。

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