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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国・習近平主席の従兄弟、組織犯罪に関与の疑惑…当局が捜査、逮捕なら“習降ろし”激化

文=相馬勝/ジャーナリスト
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実業家への転身

 とはいえ、斉明氏にとって、氏の最高指導者就任は彼の人生を大きく変えるに十分だった。1990年代初めに豪国籍を取得した斉氏の生活基盤は豪国内だったが、習氏が中国共産党の最高指導機関である党政治局常務委員会入りした2007年頃から、中国でビジネス活動を展開。中国の大手通信機器会社、中興通信(ZTE)の傘下企業社長に就任したほか、香港や豪州で数社の会社を経営するなどビジネス活動を拡大していた。

 その頃に知り合ったのが、中国系豪州人の周九明氏だ。周氏は豪湖北同郷会や豪湖北商会など、中国湖北省と豪州のビジネス交流を展開。中国歌舞団も組織し両国の文化交流を推進するなど、駐豪中国大使館など中国政府関係者とも親しい関係も維持する一方、その裏で、ゴールドコーストの巨大カジノリゾート施設「クラウン・リゾート」で富裕客を斡旋する仲介業者の顔も持ち、中国系組織犯罪組織のトップとして暗躍していた。

 周氏は斉明氏が中国最高指導者の従兄弟であることを知ると、斉氏に急接近し、中国内の党高級幹部に紹介し、斉氏のビジネス拡大に積極的に協力。時価で1500万ドル(当時のレートで2億円)もの豪邸を斉氏にプレゼントするなど関係を深めていった。

 一方、豪司法当局は、周氏がカジノを訪れた中国人短期滞在者向けにビザを優先的に審査するよう、カジノ側から豪政府機関に働きかけるよう依頼していた疑いを持ち周氏を内偵。その段階で、周氏がカジノ行きのために手配したプライベートジェットに同乗していた斉明氏に、捜査当局者が事情を聞いていたことが発覚し、斉氏も捜査対象者としてリストアップされたという。

 調べによると、周氏は斉氏を利用して、大陸で不法に稼いだ金を斉氏の大陸内や香港内の企業を通して、メルボルンのカジノで使ったように見せかけてマネーロンダリングしていたとみられている。具体的には、斉氏がカジノで1回に数百万ドルもの金を動かしており、12年から13年の1年半でわかっているだけで2800万ドル(当時のレートで31億円)もの金を賭けていたという。さらに、斉氏は周氏のトップの犯罪組織が運営している売春組織と関係しているとみて、豪州当局は捜査を進めている。

 かりに斉氏が逮捕され、犯罪が立証されれば、中国共産党内部の権力闘争に絡んで、「習近平独裁体制」に反発するグループによって習氏の道義的な責任を追及する動きが出てくる可能性も否定できないのではないか。

(文=相馬勝/ジャーナリスト)

 

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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