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木下隆之「クルマ激辛定食」

“大衆車感”が消えたトヨタ新型「カローラ」は大化けする…セダン投入が遅れた理由

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トヨタ・カローラ

 トヨタ自動車から12代目「カローラ」シリーズがデビューしたのは2018年6月このこと。ところが、実際に市場に投入されたのは「カローラスポーツ」を名乗るハッチバック型のみ。それに遅れること1年3カ月、ようやく“真打ち”の「カローラセダン」と「カローラツーリング」が登場。晴れて、セダン、ワゴン、ハッチバックがフルラインナップで揃った。

 それにしても、なぜハッチバックのみが先行デビューしたのか。開発責任者の上田泰史チーフエンジニアは、こう言う。

「大きく分ければ、理由は2つです。まずひとつは、既存のイメージを引きずることなく、新鮮なイメージを訴えかけたかったからです」

 これまでカローラは、日本を代表する国民車としてトヨタの中心にいた。日産自動車の「サニー」とともに、大衆車の王道を突き進んできた。だが、デビューから53年という月日の流れにより、時代は変化した。環境意識が高まり、「プリウス」を代表とするハイブリッド専用車が大衆車の主役となり、一方で「ポルテ」や「シエンタ」といったミニバン系が家庭に浸透した。そして、「アルファード/ヴェルファイア」や「ノア/ヴォクシー」が家族を運ぶようになった。背の高いSUV形への抵抗感もなくなった。

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 コンパクトなセダンをベースとして、ワゴンやハッチバックにバリエーションを広げてはいても、カローラは“昭和の大衆車”であり、令和の時代に必要とはされていないとさえ感じていた。ともすれば心配される“絶版車”へのフェードアウトを嫌い、大幅な若返りを図ったと想像する。

 それが、カローラセダンでもツーリングでもなく、カローラハッチバックを先行投入した理由なのだ。しかも、ハッチバックは「スポーツ」を名乗り、1.2リッターターボエンジンを搭載。ターボならではのグイグイとくる低速トルクは確認済みであり、さらには「マニュアルミッション」をラインナップしているという気合の入れようだ。

「もうひとつの理由は、プロダクトの事情です。カローラは大量生産が期待されています。日本では2つの工場で生産されますが、稼動を安定させなければなりません。そのために発売時期がずれたのです」(上田氏)

 一気に生産ラインをカローラに入れ替えるには、規模が大きすぎる。サプライヤーの供給体制を安定させなければならない。日本を代表するモデルならではの苦悩なのだ。

MT車を用意する理由

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 ともあれ、ハッチバック型の「スポーツ」が先行デビューした理由は、新鮮なイメージを強く訴えたかったからに違いない。というのも、上田氏にMT(マニュアル車)を設定した理由を問うと、こう答えたからだ。

「ただ単に、マニュアルを操る楽しみを味わってほしかったからです。僕の希望です」

 公式コメントで誤魔化すことのないストレートな言い回しに好感が持てた。

「販売的には数は見込めませんけれど」

 そう言ってニヤッと笑った。実際にはカローラスポーツのMT比率は5%程度だという。ラインナップから外しても差し支えはないだろう。

「それでも、予想していた“3%”を上回っています」

 そう言う表情は誇らしげだった。ちなみに、後を追ってデビューしたカローラセダンにも、MTの設定がある。スポーツだけでなく、大衆車の王道を突き進むセダンにもMTを加えたことは、やはり上田氏の思い入れの強さなのだ。

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 そう思ってカタログをペラペラとめくると、“大衆車感”が薄いことに気がついた。家族がドライブにおもむくシーンや、スーパーマーケットへの買い物をビジュアル的に表現するのがカローラらしさだと思っていたのに、そこには家族団欒の気配はない。若い男女が誇らしげに、カローラをドライブしているシーンが主体となっているのである。

 新型カローラは、化ける可能性を秘めている。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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