「Getty Images」より

 今般、環境意識の高まりから脱石油の動きが加速している。自動車の燃料となるガソリンや石油火力発電といったものだけではなく、ファミリーレストランやカフェのプラスチック製ストローにも及ぶ。矛先を向けられたプラ製ストローは官民一体での取り組みが奏功し、早くも使用取りやめが広がり、紙製ストローへと切り替えられている。

 自動車や発電をはじめ、私たちの身の回りには石油に依存している製品がたくさんある。プラ製ストローもそのひとつだが、目下、次の脱石油のターゲットにされて削減が進められているのが、買い物の際にスーパーやコンビニエンスストアで無料配布されるレジ袋だ。

 これまでにも脱レジ袋は、あらゆるシーンで取り組まれてきた。中央省庁だけではなく、地方自治体も積極的に脱レジ袋を推進してきた。環境団体やNPOなどでもマイバッグなどを配布し、レジ袋削減はまさに官民が一丸になって取り組む環境政策でもあった。しかし、スーパーやコンビニといった小売・流通業界からの反対は根強く、レジ袋の削減は順調に進んでいるとはいいがたい状況だった。

 全国的に見れば、レジ袋の削減はあまり進んでいないが、それでも熱心な地方自治体はある。そのひとつが、東京都杉並区だ。2002年、杉並区はレジ袋に対して課税するレジ袋税を独自に制定したが、同区の条例によるものなので区内でしか適用されない。今般、東京23区在住者は通勤・通学の途中で買い物を済ませてしまうことも珍しくない。いくら杉並区がレジ袋税を制定して削減に努めても、隣の区で買い物をされたら削減効果はない。

 そのため杉並区は課税によるレジ袋削減から意識啓発による削減へと方針を転換した。区職員は、こう話す。

「レジ袋税の制定には、区内外問わず大きな反響がありました。杉並区の場合、レジ袋1枚に対して5円を課税するというかたちで、税率でみれば消費税とは比較にならないレベルの重税です。そうした重税感もさることながら、政府がレジ袋有料化を検討していること、また区内でのレジ袋削減の啓発運動も活発化してきたことも踏まえて、レジ袋税は施行されないままになりました」

ゴミ削減という目的が骨抜き

 それから10年たち、政府は重い腰をあげる。環境省と経済産業省がレジ袋の有料化を検討し始めたのだ。そして、20年7月からレジ袋の有料化がスタートする。レジ袋税とレジ袋有料化、どちらもレジ袋に対して消費者が金銭的な負担を負わされることに違いはないが、税と有料化ではまったく意味合いが異なる。税ならば事業者が税率にあわせて税金を政府に納めなければならず、店舗側の裁量でレジ袋の金額を決めることができず、割引や無料サービスを行うことは難しい。

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