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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

河井案里のウグイス嬢買収騒動、実は国政選挙で報酬上限無視は常識…超過酷な労働実態

文=神澤志万/国会議員秘書
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自民党の河井案里参議院議員(写真:毎日新聞社/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 自民党の河井克行前法務大臣と妻の河井案里参議院議員の公職選挙法違反疑惑で、選挙運動の際の「車上運動員」(いわゆるウグイスやカラス)の報酬が問題になっています。神澤の経験では、車上運動員の報酬は、ほぼすべての国政選挙で公選法の上限である日当1万5000円を上回る金額が用意されています。

 さすがに神澤が自ら報酬を渡したことはないですが、「法定のギャラではプロのウグイスには来てもらえない」というのが永田町の“都市伝説”です。この話は神澤が秘書になった20年以上前からいわれているので、長い間、法定の報酬額と実態が乖離している状況が放置されてきたのでしょう。

 そもそも、「日当1万5000円でも十分じゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、ウグイスはとてもとても過酷な労働です。選挙演説での「音出し」、つまりマイクのスイッチを入れられるのは朝8時からなので、それより前に選挙事務所に集合し、駅前など演説ができる場所に移動して8時を待ちます。

 選挙区が広ければ集合時間は早まりますし、移動が続けば泊りがけになるときもあります。そして、20時の「マイクおさめ」と呼ばれる音出しの禁止時刻まで、ウグイスたちは交代でずっと声を出さなければなりません。20時になっても、すぐに帰れるわけではありません。音出しを終えたら選挙事務所に戻り、当日の反省と翌日の打ち合わせをしてから、ようやく解散となります。

 これを選挙期間中続けるウグイスは、超過酷な労働なのです。もちろん、立候補者本人や私たちスタッフもそれ以上に過酷ですけどね。

 この大変な仕事を日当1万5000円でやってくれる人は少ないので、法定の上限は実態にそぐわないのです。今回の件では、案里議員のほかに高橋はるみ、橋下聖子両参議院議員の事務所が「週刊新潮」(新潮社)に追及されていますが、これをきっかけに法改正が進めばいいと思います。与党である自民党が主体的に対応しないと法改正は実現しないので、身内のことをかばうより、まずは現実に即した法律にしてほしいです。

働き方改革に逆行する永田町の労働実態

 1月20日に召集された第201回国会(常会)では連日、衆参両院で予算委員会が開かれていますが、会計担当の秘書たちは2月末日の締め切りを前に、「使途等報告書」という政党交付金の内訳を報告する書類作成作業で多忙を極めています。

 いわゆる「収支報告書」はすべての収入に対する使い道を報告するもので、この使途等報告書は政党交付金のみの使途を報告するものになります。これを元に収支報告書を作成するのですが、昨今は各党本部が事前に各支部の使途等報告書をチェックして整合性や違法性などを確認してから、それぞれの選挙管理委員会に提出することにしています。

 さらに、各党で税理士や会計士の外部監査を受け、法的な部分だけでなく倫理的な部分についても厳しく精査しているようです。それでも、国民のみなさまからは「まだまだ甘い」と言われてしまうのですけどね。

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg