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ダイヤモンド・プリンセス対応に疑問の声も…東京五輪開催に暗雲、安倍政権の目論見狂う

文=編集部
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新型ウイルス肺炎が世界に拡大 横浜港にクルーズ船が停泊(写真:AFP/アフロ)

「本当に運のいい人だよ。安倍首相は。政権が窮地になると別の大きなニュースが起きる。北朝鮮のミサイルに助けられたこともあったし、自然災害もあった。今度は新型肺炎だ」

 日本で新型コロナウイルスによる1例目の感染が明らかになったのが1月16日。当初はないとされていたヒトからヒトへの感染が確認され、世界の感染者数が2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行を超えた1月末頃には、自民党内からそんな声が聞こえるようになった。

 1月20日から始まった通常国会は、「桜を見る会」「秋元司衆院議員が逮捕されたIR汚職」「河井案里参院議員の選挙をめぐるウグイス嬢買収疑惑」の3点セットがあり、野党が安倍政権を追及する場面で一色になる、と思われていた。

 確かに国会では野党は安倍政権を標的にして「桜疑惑」で徹底追及している。今年度の補正予算案審議、来年度予算案審議と続き、安倍首相が出席する予算委員会が開かれるため、疑惑の当事者に問い質す場面は多い。桜を見る会に安倍首相の後援会関係者が800人規模で参加したことなどについて、「募ってはいるが、募集はしていない」という珍答弁も飛び出した。

 しかし、「桜疑惑」で政権を攻める野党に対する評価はイマイチで、「どうしてもっと新型肺炎対策を議論しないのか」と非難される始末。

 だが、そんな“追い風”も長くは続かなかった。ここへ来て、日本政府の新型肺炎対応に批判が出てきたのだ。中国・武漢からの邦人退避のためにチャーター便を手配した頃まではよかった。1月28日に第1便、翌29日に第2便、31日に第3便が現地を出発。迅速対応は、茂木敏充外相や現地の外交官が中国政府と交渉した結果だと“武勇伝”のように報じられた。

 しかし、感染者の出たクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号が2月3日から横浜港に停泊。乗員乗客の14日間の船内待機が始まると、事態は変わってくる。客室に留まるように求められた乗客が船内環境の悪化を訴え出し、「持病の薬が届かない」「シーツの取り換えがない」などの不満が噴出。感染者も連日増え続け、搬送先の病院の対応が間に合わないほどの事態となり、受け入れ自治体が群馬県や山梨県などにも広がっている。

 3000人を超える乗員乗客全員を検査すべき、との声も上がり、12日の国会で加藤勝信厚生労働相は「全員検査」を明言せざるを得ない状況に。潜伏期間とした14日間が過ぎる19日に下船できるのかどうか、不透明になってきた。

「クルーズ船内の感染者が毎日、増えるのは頭が痛い。船内待機という判断がよかったのかという疑問も政府内で湧いている。乗員乗客は半数が外国人なので、海外メディアも大きく報じている。クルーズ船の感染者を加えれば、日本は中国に次ぐ2番目の感染大国になってしまうので、イメージ悪化で入国制限をする国が広がりかねない」(自民党関係者)

日本経済に与える影響も拡大

 感染拡大が日本経済に与える影響も大きくなりつつある。インバウンドの激減によるダメージは計り知れず、日本の自動車メーカーは中国工場で部品の供給がままならず、春節後の稼働が遅れている。感染が長期化すれば、2020年の日本経済がマイナス成長になると予測するレポートも出てきている。4月の国賓招待を予定している中国の習近平国家主席の来日も、延期の公算が高まってきた。

 そして最大の懸念は夏の東京五輪パラリンピックだ。

「中止が検討されているというデマが流れて、組織委員会が否定する事態に発展したが、現実には本当にやれるのかどうか。予定通り開催できても、来日を拒む選手が出てきたり、中国選手と競技するのを嫌がる選手が出てきたりする可能性もある。五輪をレガシーにと思い描いてきた安倍首相のシナリオが狂ってしまう」(官邸関係者)

 強運の持ち主が一転――。こうなると、第1次政権のような失意の中での退陣もあり得るかもしれない。

(文=編集部)

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