大手外食チェーンが“太っ腹”な取り組みを始めた。
大手牛丼チェーンの吉野家は27~31日まで、テイクアウトに限り「牛丼並盛」を通常価格の74円引きとなる300円(税込)で販売している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の外出自粛要請を受けたもので、自宅で食事を取る必要に迫られた消費者のニーズに応える。
すでに吉野家は10日から、政府の要請による小中高校等の一斉休校に対応するかたちで、12歳以下の子供向けに1人3個までの制限付きで同様の価格で販売していたが、首都圏の都県が相次いで外出自粛要請を発表したことから、販売対象と個数の制限を撤廃する方針を決めた。
事実上“無制限”での割引販売を敢行している吉野家に対し、インターネット上では次のように評価する声が上がっている。
「大したもんや吉野家」(原文ママ、以下同)
「まあ、なんだかんだ言うても さすがに吉野家」
「更に、メルペイと組み合わせると、実質150円で食べられる、神仕様」
「吉野家の姿勢を見習う必要あるな」
「300円!ありがてぇ #吉野家」
「吉野家さん、ありがとう。久々の吉野家さんの牛丼でした」
今回の吉野家の取り組みについて、外食企業役員は語る。
「吉野家は昨年も台風15号の被害で断水や停電が続いていた千葉県でキッチンカー(移動販売車「オレンジドリーム号」)を派遣して、被災地住民の方々に商品を届けていましたが、今の社長も前の社長もアルバイトからのたたき上げという事実が物語るように、同社では現場主義が徹底しており、現場のニーズを把握して迅速に動くことに長けています。また、今回もそうですが、こうした取り組みがメディアで大きく取り上げられたり、ネット上で話題になることで、一定のパブリシティ効果も期待できるので、そういう意味でも賢い戦略だと思います。
資金面でも体力のある大手だからこそできる取り組みでありますが、こうした動きが他の外食チェーンなどでも広がれば、店舗内で不特定多数のお客が密集して食事をとるという機会を低減し、自宅での食事を促すので、現実的に感染拡大の防止にもつながるでしょう。また、吉野家としても、外出自粛でもし来店客数が激減すればその分の売上が減るだけではなく、余った食材を廃棄するコストものしかかってくるので、そうしたロスをテイクアウト客の増加で少しでも穴埋めできることも期待できるかもしれません」
今回の施策にあたり吉野家は、店舗での行列や待ち時間の長時間化を防ぐためにスマートフォンからの事前注文の利用を呼びかけている。
(文=編集部)