
緊急事態宣言が出て皆様が外出を自粛するなか、仕事は在宅テレワーク、夕食も家族と一緒に、という方が増えています。でも、いつもは残業・飲み会で帰宅の遅い男性の方々、なぜかちょっと肩身が狭い感じを抱かれていませんか。
ご存じの通り、定年後いつも家にいる夫と暮らすことでイライラし、果てにうつ病になってしまうという「夫源病」を経験するご夫婦がいらっしゃいます。また産業医としての私の経験では、夫が家に長くいた年末・正月休暇が終わると、奥様のメンタル不調が増加することがあるのです。
急に夫が在宅勤務となり、朝から晩までいつも側に居る、昼食も支度をしなくてはならないし、何かと用事を言いつけられる。これまさに定年後のご夫婦に近い状態。こんな問題が生じている家庭が多いと聞きました。
私は産業医として通常は企業を訪問し面談していますが、現在はすべて在宅でリモート対応となりました。面談する相手の社員も在宅勤務中の人がほとんど、SkypeやZoomを使用しての面談をしています。
そのなかのエピソードを紹介してみましょう(もちろん個人が特定されないよう改変しています)。皆さん心当たりはありませんか。
・38歳女性
在宅勤務がメインとなって1週間。夫も在宅勤務中。朝食の片づけをしてから9時からPCを立ち上げ仕事を開始。その間に洗濯機を回して家事。昼食は一人なら適当に済ますが、夫がいるので一応何かつくらなくてはならない。せっかく仕事が乗ってきたのに、と思いながら昼食をつくり食べる。
その間ワイドショーをテレビで観るが、今日も新型コロナの話題に終始する。昨日の感染者が増えた話、休業しなくてはならない人の話など暗いニュースが多く、ついつい気になってしまう。
午後の仕事に入るが、居場所がないので居間で仕事、でも夫がウロウロ動くたびに気が散る。夕方仕事が終わってみると、自分も夫も一歩も外に出ていない。こんな日がもう1週間続いている。自宅のPCは小さなノートのため肩こり、腰痛がひどくなった気もする。そして何より気になるのはついつい間食が増えてしまい、体重も増えたよう。「今度会社行くときにスーツが入らないかも」と思うと、またまた落ち込む。
ストレスをため込む
コロナによるストレスから、欧米ではドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)が増えているいうニュースもあります。普段の昼間は一緒にいることのない夫婦が、四六時中一緒にいることでストレスが溜まるのでしょうか。ついついイライラで物を投げたり暴言を吐いたり。
物理的に狭い空間にいることのストレスに加え、テレビをつければコロナの話、休業を余儀なくされたり、失業した人々の話。