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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

コロナは死亡率3%の肺炎…第3波に備え無症状者は通常活動で集団免疫を 医師が提言

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士
コロナは死亡率3%の肺炎…第3波に備え無症状者は通常活動で集団免疫を 医師が提言の画像1
「Getty Images」より

 去る5月4日、当初(4月7日)は5月6日までとしていた「緊急事態宣言」が5月31日までに延長された。5月7日になったら事業が再開できることを目標に必死に耐えていた観光関連業(ホテル、鉄道、バス等)、レストラン、百貨店、小売業等を含め、コロナ禍で窮地に陥っている経営者にとっては「地獄の沙汰」である。

「専門家」によると、とにかく「三密(密集、密閉、密接)を避け、手洗いを励行し、コロナウイルスを体(肺)の中に入れない」ことが、コロナウイルス感染を防ぐ、最上、最良の方法とされている。しかし、こうした「外出規制」により、一時的にコロナウイルスの感染が終息したように見えても、体内に免疫ができていないと再度コロナウイルスの感染が拡がっていく可能性が十分にある。日本のどの都市よりも早く「学校閉鎖」を断行し、「外出自粛励行」を呼びかけ、一旦はコロナウイルス感染が終息したように見えた北海道で再び感染が拡大しているのが良い例である。

「ハシカに一回かかると二度とかからない」というのは、ハシカ(麻疹)ウイルスに対して、抗体ができるからである。細菌やウイルスなどの病原体、アレルゲン(花粉、ダニ、ハウスダスト)など、体内に入ってくる異物・有害物は「抗原」と呼ばれ、それに対して白血球のリンパ球で抗体(免疫グロブリン)がつくられ(免疫ができる)、病原体などの異物を攻撃・排除する。抗体は一生、体内・血液内に保有されることがほとんど。よって、「同じ病気には二度とかからない」のである。

 しかし、日本や欧米各国でやってきた「外出規制」でコロナウイルスに感染させる機会を奪うと、ほとんどの人の体内には抗体はできていないのだから、コロナウイルスの第2波、第3波がやってきた場合、再度、再三の「外出規制」や「緊急事態宣言」が必要になってくる。

 1月から3月半ばまで日本人が感染したコロナウイルスは中国武漢由来のもので、3月21日の連休後のコロナウイルス感染は、連休をヨーロッパで過ごした旅行者たちが、中国からヨーロッパに伝播し変異したウイルスを持ち込んだものによるものだという。このように同じウイルスでも変異を繰り返すので、一回終息したように見えても、第2波、第3波がやってくる可能性がある。

免疫力を高める

 1918年から1920年に世界的に流行したインフルエンザ(スペイン風邪)は全世界で約5000万人の生命を奪ったとされている。日本では1918(大正7)年の夏から秋に最初の感染拡大が始まり、1919年には一旦収まったが、秋から再拡大し、結局1921年までの間に計3回流行した。当時の人口(約5600万人)の40%にあたる2380万人が感染し、38万人が死亡した。

 こうした史実を参考にしたのか、スウェーデンでは国民に外出規制を強いず、むしろ「自由に感染させて抗体保有率を上げる」という「集団免疫」戦術をとって成功したようだ。ただし、発熱など肺炎の症状が出た人は初期段階から積極的に治療した。スウェーデンの疫学者アンデシュ・テグネル氏は、「USA TODAY」(4月28日付)で「ストックホルムではたぶん25%の人がコロナウイルスの抗体を持っている」と述べている。

 日本が慶応大学病院に4月13日から19日までの間に「コロナ肺炎以外で入院した67人のコロナウイルス抗体の発現率を調べたところ、4人(=5.97%)が陽性だった」という。この伝えでいくと、人口約1300万人の東京都民の抗体保有者は約80万人ということになる。

 4月24日、米国ニューヨーク州で3000人を調べたところ、コロナウイルスの抗体保有率は13.9%で、同州の人口約1945万人のうち約270万人に当たるという。抗体を保有していると、第2波、第3波のコロナウイルスが襲来しても、発病率はうんと下がるということになる。

 日本では欧米に比べて新型コロナウイルスの感染率、死亡率が格段に低いのは、幼少期にツベルクリン反応陰性(結核菌に免疫のない)の人に接種された「BCG」(牛の結核菌からつくられたワクチン)が一役買っているという説もある。風邪やインフルエンザ、コロナなどのウイルスと接触したり、吸引したりしても、発症する人としない人がいるのは、ひとえにその人の持つ免疫力の差である。ここ3カ月以上、テレビにはほぼ同じ顔ぶれの感染症の専門家と称する人が出ずっぱりで、異口同音に「三密を避ける」「手洗いをする」しかおっしゃらない。なぜ、「免疫力を高めてコロナウイルス感染を防ごう」という考えがないのか不思議である。

「集団免疫」を獲得する

 風邪、肺炎などの感染症をはじめ、がん、膠原病など、どんな病気でもある程度以上の症状になると必ず「発熱」と「食欲不振」を伴ってくる。この両者とも、神様が我々動物に下さった病気を治すための「免疫力」である。

 よって、日頃「お風呂、温泉、サウナなどで体を温め、生姜紅茶、酒の熱燗、熱々のうどんやみそ汁、すき焼き、豚汁、カレーなど、食べている端から発汗するようなものを飲食する」「一日一回は空腹の時間を作る」などを励行し、「免疫力を上げておく」ことこそ、コロナウイルス感染に対する最上、最良の方法と私は確信しているのだが。ちなみに人が発汗するときは、体温は1℃上昇し、免疫力は数時間4~5倍になるとされる。

 コロナウイルス肺炎とは、100人がコロナウイルスに感染すると、

・80人=無~軽症

・20人=中~重症化(うち17人=治療によって治る、3人=死亡)

という、死亡率「3%」の肺炎である。しかも、亡くなるのは高齢者、慢性的に肺・心臓・腎臓に疾患のある人や、糖尿病など免疫力の低下した持病のある人たちである。よって、こういう人たちには「毎日主治医が電話診療する」「看護師の訪問」などを励行し、発熱したら「37.5℃以上の発熱が4日続いたらPCR検査をする」などと悠長なことを言わず、即入院させて徹底した治療を行う。軽症~中等症の人はホテルでの療養をさせ、医師・看護師がケアすることを実践し、「無~軽症」の人は「集団免疫」を獲得するためにも、経済を死なせないためにも社会活動をさせるべきである。

 コロナウイルス肺炎が問題化してから約3カ月の死亡者は697人(5月14日現在)。一方、普通の細菌性や誤嚥性の肺炎で亡くなる人は毎月約1万人、年間12万人である。コロナウイルスに関して、もう少し冷静に対処できないものか。

(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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