
去る5月4日、当初(4月7日)は5月6日までとしていた「緊急事態宣言」が5月31日までに延長された。5月7日になったら事業が再開できることを目標に必死に耐えていた観光関連業(ホテル、鉄道、バス等)、レストラン、百貨店、小売業等を含め、コロナ禍で窮地に陥っている経営者にとっては「地獄の沙汰」である。
「専門家」によると、とにかく「三密(密集、密閉、密接)を避け、手洗いを励行し、コロナウイルスを体(肺)の中に入れない」ことが、コロナウイルス感染を防ぐ、最上、最良の方法とされている。しかし、こうした「外出規制」により、一時的にコロナウイルスの感染が終息したように見えても、体内に免疫ができていないと再度コロナウイルスの感染が拡がっていく可能性が十分にある。日本のどの都市よりも早く「学校閉鎖」を断行し、「外出自粛励行」を呼びかけ、一旦はコロナウイルス感染が終息したように見えた北海道で再び感染が拡大しているのが良い例である。
「ハシカに一回かかると二度とかからない」というのは、ハシカ(麻疹)ウイルスに対して、抗体ができるからである。細菌やウイルスなどの病原体、アレルゲン(花粉、ダニ、ハウスダスト)など、体内に入ってくる異物・有害物は「抗原」と呼ばれ、それに対して白血球のリンパ球で抗体(免疫グロブリン)がつくられ(免疫ができる)、病原体などの異物を攻撃・排除する。抗体は一生、体内・血液内に保有されることがほとんど。よって、「同じ病気には二度とかからない」のである。
しかし、日本や欧米各国でやってきた「外出規制」でコロナウイルスに感染させる機会を奪うと、ほとんどの人の体内には抗体はできていないのだから、コロナウイルスの第2波、第3波がやってきた場合、再度、再三の「外出規制」や「緊急事態宣言」が必要になってくる。
1月から3月半ばまで日本人が感染したコロナウイルスは中国武漢由来のもので、3月21日の連休後のコロナウイルス感染は、連休をヨーロッパで過ごした旅行者たちが、中国からヨーロッパに伝播し変異したウイルスを持ち込んだものによるものだという。このように同じウイルスでも変異を繰り返すので、一回終息したように見えても、第2波、第3波がやってくる可能性がある。
免疫力を高める
1918年から1920年に世界的に流行したインフルエンザ(スペイン風邪)は全世界で約5000万人の生命を奪ったとされている。日本では1918(大正7)年の夏から秋に最初の感染拡大が始まり、1919年には一旦収まったが、秋から再拡大し、結局1921年までの間に計3回流行した。当時の人口(約5600万人)の40%にあたる2380万人が感染し、38万人が死亡した。