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榎本博明「人と社会の役に立つ心理学」

我が子の学力、親による「習慣形成」が大きく左右…意思とは無関係に自然と勉強に励む

文=榎本博明/MP人間科学研究所代表、心理学博士
我が子の学力、親による「習慣形成」が大きく左右…意思とは無関係に自然と勉強に励むの画像1
「Getty images」より

「宿題まだでしょ、ちゃんとやってから遊びなさい」

 いくら言っても机に向かわないため、

「何やってるの! 宿題やらないとダメでしょ!」

「早くやりなさい!」

と声を荒げる。そして、

「なんでウチの子はいつもこうなの。嫌になっちゃう」

と嘆く。よくみられる光景である。

 一方で、宿題を手っ取り早く済ませてから遊び始める子どももいる。何が違うのだろうか。

習慣形成の意義は、意志の力が不要になるところにある

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『伸びるこどもは〇〇がすごい』(榎本博明/日本経済新聞出版)

 宿題をやらずに遊んでばかりいる子どもを見て、どうしたら宿題をちゃんとやらせられるかに頭を悩ます親が少なくない。誰だって宿題をするより遊んでいるほうが楽しいに決まっている。

 やらねばならないということは頭でわかっていても、なかなかやる気になれない。怠け心に負けてしまう。それはだれもが経験していることのはずだ。学校時代を振り返っても、試験勉強に集中しなければいけないと思っても、なかなかやる気になれず、ダラダラしてしまう、つい気晴らしに走ってしまう。そんなこともあっただろう。

 大人になってからも、似たような経験をしている人が多いはずだ。ダイエットのために毎日帰宅後に運動をしようと決め、最初の1週間くらいは続いても、

「今日は疲れてるからやめよう」

「今日はアルコールが入ってるからやめよう」

などと、「まあ、今日くらいいいだろう」といった心理が働き、ついついさぼりがちになり、ついにやらなくなってしまう。

 自己啓発本に刺激を受け、仕事力を高める自己研鑽のため、毎朝30分早く起きて勉強をしようと心に決める。わずか30分でも毎日の積み重ねは大きい。これで自分もかなり力をつけられるはず。そう思って始めるが、やはり朝は眠い。目覚まし時計が鳴っても、眠気に打ち克つことができず、「まあ、今日くらいいいだろう」と再び眠ってしまう。そんな日がしだいに増え、そのうち立ち消えになってしまう。

 このような苦い経験は、だれにもあるのではないだろうか。

 勉強でも仕事でも運動でも、何かを継続するには根気がいる。「ちゃんとやらなくちゃ」と頭では思っていても、行動がついていかない。つい怠け心に負けてさぼってしまう。どうしても安易なほうに流されがちだ。そこを踏み止まって継続するには、強靱な意志の力が必要となる。ゆえに、たいていは怠け心に負けることになる。

 そこで大切なのが習慣形成だ。早起きが習慣になっている人は、とくに意志の力を発揮しなくても、当たり前のように早起きができる。毎晩運動することが習慣になっている人は、とくに努力しなくても運動を継続することができる。毎晩夕食後に机に向かうのが習慣になっている人は、食事が終わると自然に机に向かっている。

 習慣形成のもつ意義は、まさにそこにある。いったん習慣化すると、頑張って意志の力を発揮することなしに、ほぼ自動的に望ましい行動を取ることができるのである。

榎本博明/心理学博士、MP人間科学研究所代表

榎本博明/心理学博士、MP人間科学研究所代表

心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員教授、大阪大学大学院助教授等を経て、MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした執筆、企業研修・教育講演等を行う。著書に『「やりたい仕事」病』『薄っぺらいのに自信満々な人』『かかわると面倒くさい人』『伸びる子どもは○○がすごい』『読書をする子は○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『モチベーションの新法則』『仕事で使える心理学』『心を強くするストレスマネジメント』(以上、日経文庫)、『他人を引きずりおろすのに必死な人』(SB新書)、『「上から目線」の構造<完全版>』(日経ビジネス人文庫)、『「おもてなし」という残酷社会』『思考停止という病理』(平凡社新書)など多数。
MP人間科学研究所 E-mail:mphuman@ae.auone-net.jp

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