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コロナ感染爆発、東京五輪強行した菅政権の責任問われる…人流抑制策・飲食店規制は実行可能性なし

文=編集部、協力=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長
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首相官邸公式サイトより

 東京都は29日、過去最多となる3865人が新型コロナウイルスに新たに感染したと発表した。直近7日間移動平均は対前週比161.9%(28日は153.0%)、29日の死亡者数3人(同6人)、同日の重症者数81人(同80人)という。28日の都内新規感染者は3177人、27日は2848人でそれぞれ過去最多を更新していて、感染拡大に拍車がかかっている。

 厚生労働省の発表によれば、27日には国内で7629人の感染が新たに判明。28日には9570人、29日には1万人を超えたという。

 こうした状況を受け、菅義偉首相は29日、記者団に対して以下のように語り、30日に専門家会議を開き、神奈川、埼玉、千葉の首都圏3県などへの緊急事態宣を発令する方針を示した。

「(東京五輪の開会により、国民の警戒心が緩んでいるという指摘が各方面から出ていることに関して)オリンピック大会に根差して自動車の規制、テレワークとかを行っていることによって、人流は減少傾向にあり、さらにこの傾向を加速させるために、オリンピックは皆さんご自宅で観戦していただいて、ご協力をいただければと思います。

(東京五輪の開催が今回の感染者数の増大に影響を与えていないとする論拠に関しては)オリンピックについては、人流が増えたり、外国人の方から日本人への感染が広がることを避けるために水際対策をしっかりやっておりますので、そこはないということです」

 ちなみに菅首相は28日の首相官邸での報道陣の囲み取材で、感染者数急増に関する質問には応じず、物議を醸していた。なお27日の囲み取材では次のように述べている。

「東京都で新規感染者が、過去最高ということで、また全国的にも増え続けております。

 東京都によれば、感染者のうち65歳以上の高齢者の割合というのは2パーセント台ということです。そして、30代以下が約7割を占めているということであります。一方40代、50代の方の中で入院が増えており、デルタ株の割合も急速に増加しており、まずは4連休を含めて、人流も含めて分析していくことにしました。

 さらに、各自治体と連携しながら、強い警戒感をもって感染防止に当たっていく。そして、重症化リスクを7割減らす新たな治療薬を、政府で確保しておりますので、この薬について、これから徹底して使用していくことも確認いたしました。

 いずれにしろ、こうした状況の中で、改めて国民の皆さんにおかれましては、不要不急の外出は避けていただいて、オリンピック・パラリンピックについてはテレビ等で観戦してほしいと思っています。

(オリンピックを中止する選択肢はあるのかについては)人流も減っていますし、そこはありません」

 前述の通り、菅首相は緊急事態宣言を含む政府の各種対策により「人流が減少している」と一貫して主張を続けている。つまり、”東京五輪開催中に人流は減少し続けなくてはならない”というのが政府の方針なのだ。厚生労働省関係者も「これほどまでに五輪期間中の外出自粛を求めているのに、夕方から銀座のガード下などの居酒屋などで飲食している人を多く見かける。東京都と隣接する3県に緊急事態宣言を出すことで一層、人流の抑制を求め続けていくことになるだろう」とぼやく。

 緊急事態宣言を連発する政府の方針は感染拡大防止に有効なのだろうか。特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏に政府の対策と現状認識を聞いた。

上昌広氏の見解

 まず下記のグラフを見て頂きたいのですが、最大のポイントは去年も今年も同じ時期から感染者が増えているということです。春と夏です。韓国も同じです。この感染症は季節の変動が大きいことが分かると思います。

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 去年は6月の終わりから増えて、8月の頭まで増加しています。今年も多少の変動はありますが、同じような推移を辿っています。この期間は昨年も今年も五輪が予定されていた期間です。

 現在、政府関係者や一部の有識者は『オリンピックの影響で国民が自粛しないから悪い』『東京五輪で国民の気が緩んだからだ』などという主張をしているのですが、逆に言えば、あえてこの時期に五輪を強行した政府の責任が問われるわけです。

 去年の春の推移を見てみると、始まっている時期は一緒です。今年は英国株の影響が大きかったため、ピークが後ろにずれています。東京五輪の影響だというのなら、東京だけほかの国や地域と個別の推移を見せることになりますが、大阪でも増えていますし、韓国でも増えている。つまり、”国民のせい”ではなくて季節が関係しているからで、8月中旬まで増えることが予想されます。去年の推移を踏まえれば、だいたい今はピークの半分です。だから今後、今の倍くらいになってもおかしくありません。

 私が以前から主張している通り、新規感染者を抑制するためにはPCR検査を徹底的にやるしかありません。日本のPCR検査数は人口当たりインドの半分、英国の30分の1です。検査をして隔離をするのが一番なのです。

 ところが日本は保健所の検査を減らしたいので、抗原検査でスクリーニングをかけています。抗原検査では無症状の人を6割見落とします。

 あとはワクチンを打つことです。根本的に人流を減らすことはできません。第1~4波までで明らかです。徹底的にロックダウンをかけて、国民全員が引きこもってしまうことができれば話は別ですが、現状の日本のやり方では人流は減りません。つまり、人流を減らす対策は実行可能性がないのです。そんな中で、政府が打ち出してきた主な人流抑制対策が飲食店の規制だったわけです。

 ワクチン接種の進んだ英国やイスラエルは人流を減らしていません。規制を強化している国は日本だけです。

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
医療ガバナンス研究所

Twitter:@KamiMasahiro

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