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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

新型コロナワクチン、副反応で起き得る心筋炎とは?かぜ症状や胸の痛み、息切れは要注意

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
新型コロナワクチン、副反応で起き得る心筋炎とは?かぜ症状や胸の痛み、息切れは要注意の画像1
「Getty Images」より

 新型コロナウイルスワクチンの接種率が高まる一方で、副反応に対する不安も広がっている。

 7月9日に、ヨーロッパ医薬品庁が米ファイザーと米モデルナのワクチンに関し、副反応として極めてまれに心筋炎や心膜炎を発症する恐れがあると結論付け、製品情報に記載するよう勧告したことを受け、さらにワクチン接種に不安を持つ人が増えている。厚生労働省はすでに6月の時点でワクチンの副反応と思われる心筋炎、心膜炎が起きる可能性を示唆しており、医療機関では、そういった副反応の可能性を踏まえてワクチン接種を行っている。

 過度な不安を抱かないためにも、心筋炎とはどういった症状かを正しく理解し、万が一に備えてから接種を受けるべきだろう。

 加藤勝信官房長官は6月24日の記者会見で、ファイザー製ワクチン接種後の副反応とみられる心膜炎や心筋炎が、国内で12例あったと公表した。アメリカ、イスラエルなどワクチン接種率が高い国でも、副反応とみられる心筋炎の報告があり、30代以下の若い男性に起きやすい傾向にあるという。

 厚労省は6月13日の時点で、日本国内の1714万人がファイザー製ワクチンの接種を受け、そのうち156万人に1人の割合で心筋炎や心膜炎の症状が確認されたと公表している。こういった報告を受け、政府や専門家は一様に「接種を控えるようなものではない」と評価しているが、学校での集団接種なども検討されている今、多くの不安の声が上がっている。

 心筋炎の副反応が出た人の多くは軽症で改善しているというが、その症状とはどういったものなのか。有明みんなクリニック・有明こどもクリニック・有明ひふかクリニック理事長、小暮裕之医師に聞いた。

「心筋炎、心膜炎のなかでも急性の場合は、最初はかぜのような症状が数日続き、突然、心不全症状が起き、ごくまれにですが、最悪のケースは死亡することもあります。原因は、心臓を動かしている筋肉(心筋)や心膜にウイルスが感染して炎症を起こす病気です」(小暮裕之医師)

 かぜなどのウイルスでも起きる可能性がある心筋炎だが、初期には気づきにくいため、ワクチン接種後は十分な経過観察が必要となる。

「早期に気づき治療することが大事ですので、若い世代の男性は特に、ワクチン接種後は経過観察をしっかりしてほしいと思います。ワクチン接種後4日程度は体調変化には十分注意し、かぜのような症状以外にも胸の痛みや息切れが見られることがあるので、そういった症状があらわれた時は速やかに医療機関を受診してください。しかし、これまでの心筋炎の副反応が出た方々は幸い軽症ですので、過度に不安になる必要はないでしょう」(同)

 若年者では新型コロナウイルス感染により心筋炎になるケースもあり、その症状はワクチンの副反応よりも頻度が高いことがわかっている。ワクチン接種により、感染予防だけでなく感染した際の重症化予防を図るメリットがある。重症化を防ぐことができれば、コロナ感染は脅威ではなくなり、日常を取り戻すことができる。ワクチンの重要性を理解し、接種への不安を拭うことが重要である。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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