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24時間テレビが統一教会の協力を頼った理由…大手メディアと統一教会の親密関係

文=Business Journal編集部
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消費者庁霊感商法等の悪質商法への対策検討会公式サイト

 安倍晋三元首相殺害事件の容疑者の“犯行動機”に端を発し、再認識された世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題。旧統一教会による霊感商法はかつて大きな社会問題になった。消費者庁は29日、「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」の第1回会合を開催した。会合はオンラインで行われ、同庁公式YouTubeチャンネル上で生放送された。

 検討会は、河野太郎消費者担当相が音頭を取って設置したもの。メンバーは河上正二東大名誉教授(座長)、リンク総合法律事務所所長の紀藤正樹弁護士、前衆院議員の菅野志桜里弁護士、日本脱カルト協会代表理事の西田公昭立正大教授、独立行政法人国民生活センターの山田昭典理事長、日本弁護士連合会の芳野直子副会長、消費生活相談員の田浦道子氏の8人で、毎週開かれる予定という。

 河野消費者担当相は「(霊感商法で商品購入を促す手法から、教団への)寄付のようなものに移り始めたという話もあるが、しっかり対応できていたのか。被害をどう未然に防止するか、どう救済していくか、事業者にどのように対応していけばいいか。積極的に、遠慮なく議論していただきたい」と述べた。

購入契機も紙媒体の広告からネット広告、ECへ

 同庁の相談窓口に持ち込まれた霊感商法等に関する案件は、2017年度1424件、18年度1559件、19年度1312件、20年度1177件、21年度1435件と1000件を超える水準で横ばいとなっていた。

 過去10年間で見ると、東日本大震災直後の2012年度が3267件と最多。以降、13年度2825件、14年度2533件と減少し、現在の水準に落ち着いたようだ。震災直後には、困窮する被災者に付け込む事例もあったという。以下、引用する。

【事例1】被災者の不安をあおって勧誘し、見舞い金額を全額支払わせた

 月刊誌で「3日以内に願いが叶かないます」と書いてある数珠の広告を見て購入した。数珠に同封されていた手紙に、「使い方の説明があるので電話をしてください」と書いてあったので業者に電話をすると、スクラッチクジを買うように指示された。クジを買ったが、外れだった。

 業者にその旨を伝えたら、スクラッチクジを買うときの注意点を教えてもらった。その通りにしたが、また外れだった。震災被災者で仮設住宅に入っていることを伝えたところ、受けとった見舞金の額を聞かれ答えるとすぐに全額引き出すように言われた。

 運気を上げるために水晶玉を送ると言われたので引き出した全額を振り込んだ。水晶玉とさらに数珠1つが送られ、言われた通り水晶玉に毎日手をかざして祈り、再度スクラッチクジを買ったが当たらなかった。

 電話でその旨を伝えたら「財産に因縁がある。身のまわりをきれいにしないと金運がつかない。浄化石を送るので、現在、通帳にある全額を引き出してくるように」と言われた。もうやめたいと伝えたが、「娘の片腕が無くなったり、交通事故に遭ってもよいのか」と言われ、預金の全額(15万円)で石を買うことにしたが、生活費が無くなるのでやめたい。(2011 年 7 月受付・宮城県・50 代・女性・家事従事者)>(原文ママ)

 相談窓口の事例報告を見ている限り、「雑誌の広告」や「新聞折り込みチラシ」などを見て巻き込まれるという事例が目立つ。前述の被災者の事例も「月刊誌の広告」が商品購入のきっかけのひとつになった。だが、最近は「購入契機」のデジタル化も進んでいるようだ。

 直近5年間について、同会議で配布された資料「霊感商法(開運商法)に関する消費生活相談情報の分析」によると契約当事者は70歳以上が多く、商品は、従来型の訪問販売形式に加えインターネット通販形式の「占い・祈とうサービス」や「デジタルコンテンツ」の相談件数が相当数に上っていることが明らかになった。

 こうした現状に、芳野日弁連副会長は同会合で「長年警告されていたにもかかわらず、なぜ続いてきてしまっているのか。きちんと検証したい」と語った。

教団とメディアの関り?

 与野党は所属議員の「教団との接点」に関するスクリーニングに奔走している。大手メディアも連日それを報道し、教団に対する取材攻勢を強めている。そんな中、教団が21、26日公表したプレスリリース『異常な過熱報道に対する注意喚起』『異常な過熱報道に対する注意喚起(2)』がネット上で注目を集めた。教団は次のように述べる。

「仮に、当法人および友好団体等が、現在各種メディアで報じられているような『反社会的』で関係を持つことが許されないような団体だったとすれば、各報道機関はその調査能力を総動員して、過去から現在に至るまで当法人および友好団体等に全く関わらないように注意を払ってきた筈です。

 しかし、これまでそのようなことは一切ありませんでした。それどころか、当法人および友好団体等が開催するイベントへの取材活動を始め、協賛、後援、寄付、ボランティア派遣等を通じて、実に多くの報道機関が密接に関わって来たことは疑いようのない事実です。

 なお、現在、各報道機関と当法人および友好団体等とのこれまでの関わり等について、過去に遡って詳細な調査を進めております。調査結果がまとまり次第、全面的に公表させていただく予定です」(原文ママ)

 その第一弾として公表されたのが、『24時間テレビ』(日本テレビ系)のイベントに同教団の信者がボランティアで参加したという内容だった。放送直前の異例のリリースに、「教団報道の急先鋒である読売テレビの某番組への牽制ではないか」と一部報道もあった。

 おおむね報道現場の記者や著名なジャーナリストらは、今回の教団の情報発信に「教団による問題の論点そらしだ」「ジャーナリズムはそんな脅しには屈しない」などと猛批判を展開した。だが、「まったく影響がない」というわけではなさそうだ。ある地方局の事業関連部門の担当者は漏らす。

24時間テレビの件でいえば、教団から指摘されていた地方局からすれば『教団との関係の有無に関心がなかった』というのが現実でしょうね。

 社の関連団体主催のチャリティーイベントに勝手連で協力してくれる学生やボランティアを選別することは業務として不可能です。それに『ボランティアをしたい』といって来る人たちに『特定の宗教に入っているか否か』を聞き、選別するというのは憲法問題になりかねません。

 事務局の人員のみで、すべて回すのは不可能ですし、アルバイトを雇うというのも予算面から現実的ではありません。だから知人や地域のボランティア団体などに、ボランティア集めをお願いすることになるのですが、そこに教団の関連組織が入っていることは実際、多いのではないでしょうか。

 例えば、“世界平和”や朝鮮半島をテーマにした国際交流、SDGs(国連の持続可能な開発目標)などをテーマとしたイベントなどでは、“いつも来てもらっているボランティアの知り合いの知り合い”といった感じで国連認定NGOでもある教団関連組織のメンバーが来ることは少なからずあると思います」

詐欺広告とメディアの歴史

 前述の消費者庁の検討会で公表されていた「霊感商法」の事例にもあった、メディア広告と霊感商法の接点に関する点も気にかかる。地方新聞社の元広告局幹部は声をひそめる。

「歌手の桜田淳子さんが1992年に統一教会の信者であることを告白し、合同結婚式に出席したころ、霊感商法が社会問題化していました。当時は、“その手の広告”が間違っても紙面に掲載されないよう(現在の)公益財団法人広告審査協会といった業界団体をはじめ、各社の担当部門が厳しく審査していました。

 ネット広告の隆盛、新聞購読者数の減少で、広告への出稿が減っているのは周知の通りです。新聞社は株式会社であり、営利企業です。当然、経営が圧迫されれば、対策を取らなければなりません。“貧すれば鈍する”で20~30年前は(審査を)通らなかったような広告が最近では掲載されるようになりました。これは全国各地の地方紙に顕著ですが、全国紙でも同じです。

 旧統一教会の霊感商法関連商品かどうかはわかりかねますが、かなり怪しげなサービスや商品の広告が掲載するようになりました」

 ちなみに新聞に掲載された詐欺広告によって被害を受けたとして、詐欺被害者が各社を訴えた裁判としては「日本コーポ事件」(昭和59(オ)第1129号新聞広告掲載に伴う損害賠償請求事件)がよく知られている。

『別冊ジュリストメディア判例百選〔No.179〕』(有斐閣)によると、1969~70年にかけて、朝日新聞社、日本経済新聞社、毎日新聞社の3社が発行する新聞に日本コーポのマンション分譲広告が掲載され、これを見た被害者らがマンション購入契約を締結。内金名目で相当多額の代金を支払ったが、日本コーポは倒産。マンションが建設されないまま、分譲マンションの引渡しを受けることも、代金の返還を受けることもできない状態となった。そのため、被害者らが、新聞3紙と広告代理店に対し、債務不履行と不法行為を理由に、損害賠償を求めて訴えを提起したのだという。

 この裁判は最高裁まで争われたが、新聞社側の不法行為責任は否定された。しかしこれを契機に広告をチェックする業界団体(前述の広告審査協会の前身組織)が設立されたり、宅建業法の広告に関する項目が改正されたりした。

 一方、1990年代には投資ジャーナルグループ提供のテレビ神奈川(TVK)の番組内広告が悪用され、詐欺被害に遭ったとして、被害者がTVKの不法行為責任を訴えるという事案も発生した。裁判の結果、それも否定された。一方、同じころ関西地方のタウン情報誌に掲載された広告の誤りから、第三者に損害が生じたケースで、出版社側の不法行為責任が肯定された裁判もあったようだ。

 霊感商法においても被害発生の契機となる事が多いメディアの広告だが、詐欺広告については司法の場で古くから問われ続けているようだ。全国紙の営業部門社員は語る。

「メディアが企業として清廉潔白なんてことはないんじゃないですか。記者は『関係ない』『あくまで取材』というかもしれませんが、教団の機関紙である『世界日報』の記者やそこと関係のある有名アナリストから見解を聞いたり、付き合いがあったりする記者はたくさんいますよ。教団関係者の主張が直接記事になるわけではないにせよ、普段から話をしていれば記事を書く人間の“ものの見方”や思考に“影響がない”とは言い切れないでしょう。

 また、それぞれのテーマで一般の人を対象にしたインタビューはたくさんありますよね。例えば、“外国人と結婚して、海外で暮らしている日本人女性”などという事例です。適任者を自分たちだけで探せないと、多方面に人脈がある営業部門に協力要請が来ます。そうして紹介した人の中に教団の関係者がいる場合もあるでしょう。

 いずれにせよ、政治家同様の“みそぎ”を求め続けるのであれば、メディア側もノーダメージというわけにはいかないでしょうね。

 また教団に限らず、新聞業界が“グレーな団体”とのつきあいが“一切ないのか”といえば……。例えば、ある地方紙では、連鎖販売取引で知られる世界的企業のイベントや会合に、会社の幹部が出席しています。公器をうたうメディアの幹部が出席するのだから、同社のビジネスに社会的信用を付与することになりますよね。

 確かに連鎖販売取引は特定商取引に関する法律や無限連鎖講の防止に関する法律などを守っている限り違法ではありません。しかし、相手の了承を得ずに営業したり、勧誘目的を明示したりしない、『ルールと法律を守らないメンバーによりトラブルになった』という事例がネット上で盛んに指摘されていますが……」

 政治家もメディア関係者も多くの人間と接点を持つ仕事だ。”教団との関係”の話題は今後も尽きなさそうだ。

(文=Business Journal編集部)

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