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「リベンジ型子育て」という病…自分の夢を我が子に託した最悪の結末、神童が不登校に

新刊JP
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※画像はイメージ(新刊JPより)。
※画像はイメージ(新刊JPより)。

「自分の子育てが正しいのか?」

 こんな疑問を抱えながら子育てをしている親は多いだろう。

 どんな価値観を持って育てればいいのか。勉強は大事だが、どのくらい親が介入していいのか。こうした選択が子育ての場面では無数にある。少子化が進み、一人っ子が増えている今の日本で、親にとって子育ては「人生で一度きり」の経験になりつつあり、それが「失敗できない」というプレッシャーにつながっている面もあるはずだ。

 特に「学歴偏重主義」が日本では根強い。自分が思っていたような学歴をつけられなかった親は、子どもに同じ轍を踏んでほしくないと思うものだし、「高学歴」をつけるよう親に無理やり勉強させられて育った人は、無意識に同じことを子どもにしてしまっているのではないかと心配になる。

早熟だが燃え尽きやすい子に…「リベンジ型子育て」の危険性

 親の中には、子育てを「自分の人生のリベンジ」と捉える人がいる。つまり進学先や経歴など、自分が果たせなかったことを子どもに果たしてもらおうと考える親である。『高学歴親という病』(成田奈緒子著、講談社刊)では、こうした子育てを「リベンジ型子育て」と呼んでいる。

 自分の果たせなかった夢を我が子に託す気持ちが高じて、親は子どもを溺愛し、干渉してしまう。子どもの人生が親の生きがいになってしまっているからである。こうした親は子育てを焦る気持ちから「早期教育」に走りやすい傾向があるそう。

 本書ではその象徴的な事例が紹介されている。

 医学部を目指していたものの挫折して他学部に進学した経験を持つとある親は、我が娘に英才教育を及ぼしていた。3歳の頃から体操教室に通わせ、小学校に上がると毎日体操をさせるだけでなく、英会話、ピアノと習い事漬けに。

 そのおかげで娘は学業はトップクラス、スポーツ万能と、まさに「神童」だった。ただ「十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば只の人」という言葉の通り、早熟な人が大人になるまでずっとトップを走り続けられるわけではない。いずれ必ず、周りの人が追い付いてくる時期がくる。そこからどうなるかは、親ではなく子ども自身の意志とモチベーション次第だろう。

 希望の中高一貫校に難なく合格し「器械体操でオリンピックを目指しながら国立大学医学部合格」を目標に定めた娘だったが、高等部に進学する頃になると学力は周囲と比べて劣るように。体操も振るわなくなってしまった。

 目に見える結果を残せなくなった娘と親は険悪になっていったそう。そして親子関係の悪化によって娘は体操をやめ、過食と非行に走り、不登校に。学校も通信制の高校に転校した。現在は住所を親に隠したうえで男性と同居しているという。

 これが「リベンジ型子育て」における最悪の結果である。我が子に自分の果たせなかった夢を託した親は熱心に教育しようとしたが、そこには娘自身の意志がない。

 そして、親が子どもに注ぐ愛情も「学業やスポーツでの目に見えた成果が見える限り」という条件付きのものだった。そこには「子どもは自分の所有物」という感覚が垣間見える。こうした形で育てられた子の「燃え尽きやすさ」が本書では指摘されている。

 では、親は子とどう接し、どう育てるべきなのか。

 「我が子にいい人生を送ってほしい」という願いは親なら誰しもが持っている。その思いが空回りしたり、子どもの能力をスポイルする方向に向かわないために親が知るべきことが本書では解説されている。

 自分の子育て方法で本当にいいのかが不安な人、子どもの学歴が気になる人、我が子をバイタリティある人間に育てたい人にとって、本書は学びとなるはずだ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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