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危機マック社長は本社にこもり机上の空論ばかり 好調モス経営陣は消費者&現場と対話徹底

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 このため、同ミーティングは毎回、櫻田会長の経営方針説明とそれに対する質疑応答、櫻田会長・同行役員と消費者の懇親会の2部構成で組まれている。櫻田会長と役員が重視しているのは、いうまでもなく後半の懇親会だ。11年から開始した同ミーティングは、この日の開催で42回目。参加者は延べ2000人を超えた。今年中に47都道府県を一巡する予定だ。

 同社が11年頃から取り組んでいるダイレクトコミュニケーションは、タウンミーティングだけではない。社員との「ランチミーティング」、FCオーナーとの「産直ツアー」、協力農家との「HATAKEミーティング」など多岐にわたる。

 いずれも会場手配、開催告知と参加者募集など手間と費用がかかる。櫻田会長はじめ経営陣もそのために忙しい時間を割かねばならず、モスフード側の負担は決して小さくはない。

「消費者との距離を少しでも縮めるために、ダイレクトマーケティングはやめられない。経営トップが毎回必ず出席しているので、ミーティングで吸い上げた消費者の声を商品開発や店舗運営改善などに即刻反映できる。そのスピード感が社内活性化要因になっている」(モスフード関係者)

緑モス倒産

 今でこそ好調なモスフードだが、02年から08年頃まで業績不振の暗いトンネルから抜けられず、経営も今のマクドナルドのように迷走していた。

 外食産業市場は1997年の売上高29兆円をピークに縮小に転じ、それと軌を一にしてモスフードの売上高もそれまでの毎期増加から減少に転じた。「開店すれば客が集まる」時代から採り続けてきた出店戦略「二等地戦略」が災いし、「駅から離れた裏通りのモス」から客足が遠のいた。遠のいた客は、駅前のマクドナルドやロッテリアへ流れていった。

 東京区部のあるFCオーナーは「98年以降、売り上げが坂を転げるように下がり、02年には採算ギリギリになった。以降も、黒字の月より赤字の月のほうが多かった」と振り返る。業績不振が続くと、それまでの方針がぶれ、経営が迷走する。その典型が04年に実施した、いわゆる「赤モス」から「緑モス」への転換だった。

 緑モスは当時アメリカで流行した「ファストカジュアル」(レストランとファストフードの中間業態)を真似たもの。「レストラン並みのゆったりした快適空間」を確保するため座席数を赤モスより約20%縮小、店内は全面禁煙にした。それで男性客が遠のいた。本部には「緑モスに改装したら売上高が前年比30%も減った。『緑モス倒産』した店もある。櫻田は責任を取れ」との抗議がFCオーナーから殺到した。

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