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日産、“妥協の産物”新経営体制は「終わりの始まり」か…ゴーン独裁による業績低迷根深く

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 日産社内では次期トップの本命は、日産の経営の柱になっている中国事業で功績のある関氏が有力視されていたが、関氏はルノーとの関係性が薄い。これに対して内田氏は、ルノーと日産の共同購買部門を務めたこともあってルノーでも顔が広い。指名委員会の委員長を務めた豊田正和社外取締役は、内田氏について「(ルノーと日産の)アライアンスにあこがれて日産に入社したほど、アライアンスを大事にする人」と評する。内田氏は日商岩井から日産入りしており、日産しか勤務経験のないプロパーの幹部と比べると日産に対する思い入れも、それほど強くない。

 一方、関氏は「技術の日産」を標榜する日産の技術畑出身だけに、日産の独立性に対する考え方が強いと見られてもおかしくない。将来の経営統合を模索するルノーとしては、日産社内からトップを選ぶとしたら内田氏が適任だった。

危うい集団指導体制

 ただ、アライアンスの契約で日産にはルノーからCOO以上を派遣することになっているだけに、内田氏のCEO就任だけでは、ルノー側に不満が残る。そこで白羽の矢が立ったのがグプタ氏だ。現在は三菱自のCOO職を務めるが、もともとルノーと日産のアライアンス関係の業務を多く務めており、入社はルノー・インドだ。

 見方によっては、ルノー側の人材が日産のCOOに就くことになる。日産側としては中途組の内田氏がCEO、ナンバー2にルノー色の濃いグプタ氏が就くことから、日産プロパーである関氏を副COOとすることで、社内の士気向上を図る狙いがある。

 しかも集団指導体制というかたちをとることで、ゴーン元会長による独裁経営からの脱皮という面を内外にアピールできる。木村康取締役会議長は「集団指導体制にするのは切磋琢磨して、透明性を確保し、公平な判断ができるため」と説明する。

 日産は20年前にルノーと提携してから、ゴーン元会長の強力なリーダーシップで危機を乗り越えてきた。ゴーン元会長が日産から強制的に退場させられた後、求心力を失った西川氏の下で日産の業績は低迷している。妥協の産物で生まれた集団指導体制で、この危機を乗り切ることができるのかを懸念する声が、早くも上がっている。

(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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