「我々は大口スポンサーだ」といえば、ある程度の報道統制は可能なのだ。
同社の真の問題点は、単に「グレーゾーンのリストラをしている」というレベルではない。それによって会社が被る、中長期的な影響こそが問題なのである。言い換えれば、「良い成績を上げている社員ばかりを残すと、環境変化に適応できる人材を切り捨ててしまっている可能性」があるかもしれないのだ。
リストラは米国本社の方針だから仕方ないとしても、それが結果的に同社の成長に寄与しているかどうかは疑問である。実際、長期的には減収減益でもある。それよりも、より顧客に価値を感じさせる提案を行い、相応の対価を得る方向を強化していければよいのではなかろうか。
同社が日本市場におけるシェアを明らかに失いつつある根本理由について、同社自身が社内報においてこのように分析している。私もまったく異論はない。
(1)激しく変化するお客様の購買パターンと競争環境についていけていない
(2)営業カバレッジ(影響を及ぼせる範囲。エリアや顧客層など:筆者注)が固定化している
(3)サービスの価格競争力が低い
話が少し横道にそれるが、働き者のイメージがある「働きアリ」を巣ごと調べてみたところ、「あまり働かないアリ」が全体の7割もいたという。しかしこの「鈍いアリ」も、食物が底を突き始めたり、巣が危機に陥ったり、「極限状況」になったときに働き始めるらしい。すなわち、反応の度合が異なるアリが共存していることで、「働かないアリ」という形で力を温存することができ、いざというときに対処できるリソースを確保できるというわけなのだ。
効率を追求してギリギリまで現状に適応してしまうと、変化のリスクに対処できないことを自然は知っている。では、日本IBMという会社はどうだろうか? 結果は時の流れが教えてくれることだろう。
※前編はこちら
『“不祥事量産”IBMリストラ面談の恐怖「君の妻に電話する」』
【本連載のアーカイブ】
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