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すなわち、上記(1)(2)でPB赤字(対GDP)が縮小した主な要因は、(1)の「地方の歳出(対GDP)減少」を除くならば、構造的な国や地方の税収等(対GDP)を上方修正したことに深く関係していると考えられる。
消えた「消費増税のインパクト」
この上方修正の妥当性をめぐっては、内閣府からの詳しい説明を期待したいが、もうひとつ気になることがある。それは、まったく報道がないが、中長期試算7月版では、消費増税のインパクトが消失したことである。
中長期試算1月版の実質GDP成長率の予測では、図表1のとおり、17年度において実質GDP成長率は落ち込んでいる。これは、17年4月の増税を前提として試算しているためであり、最近、内閣府が公表してきた中長期試算では増税インパクトは存在した。
だが、図表2のとおり、中長期試算7月版の実質GDP成長率の予測では、増税のインパクトは消失している。19年10月の増税を前提としているが、19年度の実質GDP成長率に落ち込みは見られない。
このような指摘をすると、「14年版の中長期試算でも、図表3のとおり、当時予定していた15年10月の増税インパクトは存在しないように見えるではないか」という旨の反論がでてくる可能性がある。
だが、今回の試算と、14年版の試算は前提が異なる。14年版の試算では、14年4月と15年10月の増税を前提にしている。このため、14年4月の消費増税により、実質GDP成長率は14年度に一時的に落ち込むが、15年度はその反動で実質GDP成長率には上昇圧力がかかる。それと同時に、15年10月の消費増税により、15年度では実質GDP成長率に低下圧力もかかる。この両者の効果が打ち消し合って、見かけ上、14年版の中長期試算では、15年10月の増税インパクトが存在しないように見えるのである。
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