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「正社員になれない」「希望職種につけない」が当然化…実感なき「雇用情勢の好転」

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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 民間企業の経営にかかわる話だが、経営者に意識改革を強く迫るような政策も、あっていい。安倍内閣の「働き方改革」で本当にひとり当たりの労働時間が短縮されるなら、それが「ワークシェアリング」の効果をあげて、企業が正社員を雇える余地も増えるはずだ。

 また、企業の意識改革の結果、将来、日本でも欧米のような「一般事務の雇用のオープン化」が広がれば、資格も経験もない若い人は希望する一般事務職を「ジョブ」と認識し、「最初は法定の最低賃金に近い待遇でもかまわない。『ブラック』なんて言わない。自分の生産性を向上させて、それが認められて昇給できるようにがんばる」という意識を持つようになり、一般事務職の競争率が異常に高い雇用市場での需給ギャップも解消に向かうだろう。

「幹部になりたい」とか「定年まで会社にぶら下がりたい」などと、夢にも思ってはいけない。雇われるチャンスを得るには、それぐらいの覚悟が欲しいところ。意識改革は、働く者にも必要になりそうだ。
(文=寺尾淳/ジャーナリスト)

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