岡田元会長は会社の存続にとって危険な存在
また別の観点からも、岡田元会長のユニバーサル復帰は難しくなっている。
海外のカジノ業界紙は、米国のカジノ規制当局であるネバダ・ゲーミング・コントロール・ボードが岡田元会長を調査していると報じた。当局は、カジノ関連企業の幹部に対するコンプライアンスに厳格で、当然、犯罪者や反社会的勢力は参入できない。少なくとも岡田元会長は、ユニバーサルから「岡田氏個人の利益を図る目的で(中略)約20億円の経済的損失を与えた」と糾弾されていることから、米国当局からカジノライセンスを剥奪される可能性がある。
そのためユニバーサルは、カジノライセンスを取得している海外子会社を含めて岡田元会長を完全に役員から排除している。米国のカジノは世界をリードする存在であり、米国でのカジノライセンス停止となれば、「スロットマシーン」などを世界中で販売できなくなるだけでなく、フィリピン・マニラにオープンしたばかりのカジノの運営もストップしかねない。岡田元会長は、「私でなければカジノ経営はできない」と豪語しているが、むしろその存在が会社の存続にとって危険要素となりかねないのだ。
このように、岡田元会長がユニバーサルの代表に復帰することは困難なばかりか、会社を破滅させることになりかねない。
ユニバーサル関係者は、「会見を開いて復帰をほのめかすことで、ユニバーサル関係者に、捜査協力をしないようにプレッシャーをかけたいのだろう」と冷ややかに見ている。
一方の岡田元会長側は、裕実氏は株式を「(知裕氏に)譲渡していないし、譲渡する気もないと、きちんと弁明書を得ている」とし、裕実氏と共に香港に出向いて公正証書を作成したと主張している。
双方の説明は真っ向から対立しており、着地点はまったく見えない。親子喧嘩が長引くほど、ユニバーサルにとって損害が大きくなることは間違いない。
(文=編集部)