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先の目標より、日々の仕事に注力
山の農園の景色
本業の話に戻る。かつてのカメラマンは、仕事をこなしながら経験を積むと、人物撮影や風景撮影など「テーマ」を特化する人も目立った。だが、最近は依頼があればなんでも対応する人が多い。メディアの撮影がない日は、式場や個人からの依頼を受けて結婚式の写真を撮る人もいる。そんななかで永井氏は、出版系メディアの撮影だけで仕事を続ける。カメラマンとして「個展」も開かなければ、広告写真も担当しない。
出版系も、メディアによっては単価が下落した時代だ。「スチール(静止画)だけでは将来厳しいので、ムービー(動画)も撮りなさい」と若手カメラマンに諭す経営者もいる。永井氏に今後の目標を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「出版不況の現在でも、きちんとした雑誌は単価も下がっていません。何年先にこうしたいという目標は立てず、依頼のあった仕事をこなし続けています。取り巻く環境の変化が生じれば、その時に対応するつもりです」(同)
カメラ道具にも凝らず、時間が空けば都内の寄席通いや、山梨県に借りている棚田での土いじりにあてる。異質なものとの出合いといったバランス感覚を大切にしているようだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
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