自分の未来を、過去の延長線上から設定すれば間違うんです。自分の潜在能力を排除してしまう可能性があります。「自分はもっとできるかもしれない」という大枠で見たほうが、可能性が広がります。
井上 私くらいの歳になると、逆にそれがわかってきます。「このままで終わっていく人生って、おかしくない? もっとデカいことできるんじゃない?」と思うようになりますね。常識という概念を超えていこうという気持ちになりますよ。
-歳を取れば取るほど可能性が広がる。
井上 そうなんです。逆なんですよ。人生で失うものがなくなります。「苦しい思いをしたって、人生あとわずかだ。だからもっとやろう」と思えるんです。若い頃にはない考え方です。本当の意味で、自分の人生を後悔しないために、目覚めることができます。
鈴木 確かにそうですね。逆に若い頃のほうが保守的な考えをしがちですね。親や先輩方を見て、「自分はここでいいんだ」と考えがちです。私も年齢を重ねるごとに「もっとできるはずだ」と考えるようになりました。
井上 できないと思う自分が、一瞬でもいると悔しいです。「まだ古い概念にとらわれているのか」と感じるのです。脳の破壊ができていない自分が悔しい。
想像を超える未来
-『脱バカシステム!』に、「ビヨンド(想像を超える未来)」という概念が出てきますが、井上先生のようだと思いました。
鈴木 その通りで、井上先生はビヨンドの体現者ですね。私は井上先生が本を出される前から知っていて、それこそ十数年来の知り合いなのですが、次々に新しい扉を開いていかれるのを目撃してきました。それは、先生が常に現状に満足されず、新しい可能性を追いかけられた結果、ミラクルが起きているように思います。
井上 『脱バカシステム!』のなかで、「突然飛躍する瞬間が訪れる」と書かれていますが、まさにその通りですよね。それは人間関係が関与していると思います。この本にも書かれている通りです。『脱バカシステム!』は、今の時代だからこそ、読んだほうがいい本だと思います。
-読者に向けて、最後にメッセージをお願いします。
井上 失敗しても、意外に取り返せない失敗はない。人生は必ず、どうにかなります。人に迷惑をかけない程度の、いい加減さ、フレキシブルさを持って、「大丈夫、どうにかなる」と生きていく人のほうが、大きな成功、大きな満足、充実した後悔しない人生が送れます。そうじゃないと、一見充実しているようでも、心が満足しない、表面的なものになってしまいます。自分らしく生きていったほうがいいです。
鈴木 私は「1%アクション」という概念を提唱しています(参考:『100の結果を引き寄せる1%アクション』)。
一日にできることは、成功している人でも、そうでない人でも、そう多くはありません。一日にできることはわずかです。今日できるわずかのこと、メールを出す、本を読むとか、出かけて何かを見るとか、そういった「1%アクション」を重ねることで、その先に自分が想像もしなかった出来事が起きて、人生が変わってしまうことがあります。それを少しずつできる人が、自分が本当に行きたいところに行けます。
-ありがとうございました。
(構成=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー)●鈴木領一(すずき りょういち)
思考力研究所所長(http://suzuryou.com/) ビジネスプロデューサー&コーチ。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また『100の結果を引き寄せる1%アクション』(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。