メジャーリーガーから注文殺到!「Made in 埼玉」の小さな野球用具メーカーの秘密
ベルガードは長年、グローブも企画製作していたが、前身企業は防具がOEM(相手先ブランドとしての製造・販売)だった関係もあり、ブランド名が目立たなかった。それが「使いやすくてデザイン性もいい」(使用者)という声が高まり、ネット販売も伸びた。
現在は「ベルガード」ブランドと、「アクセフベルガード(AXF)」ブランドのグローブがあり、それぞれ投手用、捕手用(ミット)、内野手用、外野手用がある。ちなみにグローブの希望小売価格は、前者ブランドが軟式用・2万8000円、硬式用・4万5000円からで、後者は6万円から(いずれも税別)と高額だ。
NPB有名選手が愛用する「ネックレス」
アクセフベルガードが高額なのは、使用すると「体幹の安定・バランスの向上・リカバリーが期待できる」機能性商品の一種だからだ。衣料メーカー、サンフォード(本社:岐阜市)、高齢者の転倒防止ベルトも手がけるテイコク製薬社(同:大阪市)と共同開発した。IFMC(イフミック=集積機能性ミネラル結晶体)と呼ぶ機能で、特許出願中だという。
「AXF」ロゴが一般に注目されたのは日本のプロ野球界(NPB)で、坂本勇人選手(読売ジャイアンツ)らが装着したネックレス(4500円+税)だ。同選手は「試しに装着した試合でホームランを打ち、手放せなくなった」という話も耳にした。
それ以外の選手も装着する姿がメディアで報じられて売れゆきも加速。たとえば京都市のスポーツ用品店で、昨年の売り上げ№1となるなど、販売は絶好調だ。健康系ネックレスなどの機能性商品では「ファイテン」が知られているが、ここにAXFも参入したのだ。
一方で懐疑的な声もある。
「あのネックレスは怪しい。健康機能性をうたう胡散臭い商品に思える」(メディア関係者)
筆者も直接このような声を耳にしたので、永井氏に聞いてみた。
「そうした声も承知しています。実は私自身、その手の商品には懐疑的でした。そこで販売前の仮仕上がり品を、まずは周囲の関係者で試したところ、毎日装着する人から『これはいい』という声が目立ちました。腰が曲がっていた80代の女性は、かなりピンとなりました。最近は国内各地の接骨院での取り扱いも増えていますが、それだけでは説得力がありません。大学や研究機関と連携して、効果・効能を科学的に検証することを行い、エビデンス(証拠や根拠)を充実させています」(同)
他社と連携する「効果」と「懸念」
ここでいう「大学との連携」とは、たとえば東京都市大学(本部:東京都世田谷区)に「ミネラル結晶体研究センター」が設立されて、昨年に記者発表が行われたことだ。ちなみに、ファイテンは、かなり前から京都府立大学(同:京都市左京区)と連携している。企業側が資金を出す「寄付講座」として研究を進める(AXFはテイコク製薬が出資)のも特徴だ。