新型日産デイズは「軽の常識を変える」というが、実は“超ベタ”なクルマだった
実は、900cc程度にアップすれば余計な負荷が減り、本来の経済車として成立するなんて話はずっと以前からある。が、迂闊な提案によって軽規格の優遇制度を失うことを恐れる軽メーカーは沈黙を続けてきたワケだ。けれども、最後発の日産は、その点身軽な立場で行政に規格改正を働きかけるべきではなかったか?
いや、もっと現実的な話として、軽初のフルハイブリッドシステムの搭載という手もあっただろう。何しろ、年内には他社から発表のウワサもあるくらいである。いまや当たり前のマイルドハイブリッドで自慢している場合じゃない。
そもそもだ、ボディからして売れ筋のワゴンタイプで、しかもカスタム系と標準車という超鉄板なんである。加えて、モデルチェンジを待つ「デイズルークス」はさらに売れ筋のトールワゴンそのもので、「常識を変える」どころか直球ど真ん中じゃないか。
いまやこのデイズとノート、セレナの3台で日本市場の大半を賄っている日産。当然、失敗のできないデイズは「イイとこ取り」的な商品企画となった。それが悪いのか? と問われれば、そうは思わない。けれども、その場合は「日本の新しい軽」とか「軽の常識を変える」などと言うべきじゃない、ということなのである。
(文=すぎもと たかよし/サラリーマン自動車ライター)