スマホ「月30GBプラン戦争」…最安値はpovo、楽天モバイルが賢明?
契約数が800万回線を突破し、携帯電話事業の黒字化が見えてきた楽天モバイル。契約者増加の起爆剤となったのが、データ利用量が無制限で月額3278円(税込)の「Rakuten最強プラン」だ。これに対抗するため、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手キャリア3社は、お得感をアピールする30GBプランを投入。細かな違いがあるため、どのキャリアのプランが個々のユーザにとって最適なのかわかりにくい面がある。そこで、専門家の見解を交え、各プランの違いや比較検討する上での留意点などについて追ってみたい。
「30GB戦争」の引き金を引いたのはNTTドコモだった。ドコモは10月1日、オンライン専用プラン「ahamo」について料金を月2970円に据え置いたまま、月間データ通信量を従来の20GBから30GBに引き上げた。80GBのデータ容量を追加する「大盛りオプション」(月1980円)を付ければ計110GBまで利用できる。「dカード」での料金支払の場合は毎月1GBが追加され(「dカードボーナスパケット特典」)、「dカードGOLD」の場合は毎月5GBが追加になる。
ドコモに続いてKDDIは10月18日、オンライン専用料金プラン「povo2.0」で、360GBで2万6400円(有効期間:365日間)の「新1年間トッピング」の提供を開始。1カ月あたり換算で30GB、2200円となり、30GBを超える月があっても年間トータルで360GB以下なら追加料金は発生しない。初めて同プランを利用する人はau PAY残高が10%(2640円相当)還元され、1カ月あたりの実質料金は1980円となる。
KDDIはUQモバイルについても、従来の「コミコミプラン」の料金(月額3278円)を据え置いたまま月間データ容量を20GBから30GBへ増量した「コミコミプラン+」を11月12日に開始。無料の10%増量特典がつくため実質33GBまで使える。
ソフトバンクは11月1日、「ワイモバイル」の「データ増量オプション」について「シンプル2 M/L」のデータ増量を5GBから10GBに引き上げ。「PayPayカード割」と「おうち割 光セット(A)」を適用すると月額2728円で月30GBを利用できる(「シンプル2 M」+データ増量オプション<+10GB>)。2つの割引が適用されない場合は月額4565円。
ソフトバンクはLINEMOについても改定。「LINEMOベストプランV」で採用している段階制をやめ、11月1日から月額2970円で30GBまで利用できるようにした。
金額だけをみればKDDIのpovo2.0が最も安いが、このプランには音声通話定額が含まれていない。月550円の「5分以内通話かけ放題」トッピングが必要であり、これを契約しない場合は30秒ごとに22円の料金が発生する。ワイモバイルのプランも音声通話定額が含まれておらず、必要な場合は880円の「だれとでも定額+」をつける必要がある。
3社の30GBプランにもメリットは多い
楽天モバイルを含む大手4社のプランのなかで、どれがもっとも契約者にとってメリットが大きいと考えられるのか。ITジャーナリスト・石川温氏はいう。
「今回の料金改定は、NTTドコモが楽天モバイルに対抗しようと、ahamoを20GBから30GBに引き上げたのが発端。そこに影響されるかたちでKDDIとソフトバンクが追随せざるを得なくなった。既存3社が30GBプランを投入する一方で、楽天モバイルは従来の『3GB以下』『20GB以下』『データ無制限』という3段階のプランを変えていない。このため、楽天モバイルは月20~30GBの間で使う人においては、若干、他社よりも見劣りする状況になっている。毎月、賢く20~30GBの間で使っている人は楽天モバイルよりも他社を使ったほうがいいかもしれないが、これくらいの料金の差であれば『月額3278円でデータ使い放題』の楽天モバイルを使ったほうが、精神的なストレスから解放されて毎日楽しいのではないか」
既存大手3社の新30GBプランについて、注目すべき点はあるか。
「3社の30GBプランにもメリットは多い。例えばNTTドコモのahamoは海外でも30GBが使えるため、海外出張が多いビジネスパーソンにはオススメ。海外で、国内のデータ容量をそのまま使えるメリットは計り知れない。自分もahamoは手放せない。UQモバイルは33GBと他社よりもデータ容量が多く、また1回10分以内の国内通話が無料なので、5分以上10分以内の電話が多い人はUQモバイルがベスト。LINEMOは30GBを超えても45GBまでは速度制限が1Mbpsと他社に比べると緩めなので、万が一、月末に30GBを超えてしまっても、なんとか持ちこたえられる可能性がある。KDDIのpovoも一月あたり実質30GBで安価なトッピングがあるが、3カ月や半年、1年間など長期のトッピングをその月数で割ると、他社よりも安い値付けになるという設計なので、注意が必要」(石川氏)
(文=Business Journal編集部、協力=石川温/ITジャーナリスト)