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片田珠美「精神科女医のたわごと」

吉本・岡本社長、典型的な“怖い凡人”…「想像力の欠如・思考停止・自己保身」の3要因揃う

文=片田珠美/精神科医
吉本・岡本社長、典型的な“怖い凡人”…「想像力の欠如・思考停止・自己保身」の3要因揃うの画像1
吉本興業・闇営業問題 岡本社長が会見(写真:アフロ)

 

 7月22日、吉本興業岡本昭彦社長が会見を開き、一連の騒動について謝罪したが、昨年「日大悪質タックル問題」で会見した内田正人監督(当時)と同様に“怖い凡人”の典型のように私の目には映った。

“怖い凡人”とは、必ずしも悪人というわけではないのに、想像力の欠如、思考停止、自己保身という3つの要因によって結果的に悪をなす凡人である。この3つの要因が岡本氏には揃っているように見受けられた。そこで、それぞれの要因について分析したい。

想像力の欠如

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怖い凡人 (片田珠美/ワニブックスPLUS新書)

 まず、宮迫博之さんや田村亮さんなどに対する「テープ回してないやろな」という発言について「冗談だった」と釈明したことが、失笑を誘い、「言い訳としてもひどい」と批判されているが、こういう反応を引き起こす可能性に想像力が及ばなかったようだ。

 この想像力の欠如は、会見の随所に出ている。たとえば、「俺には全員をクビにする力がある」という発言について、「僕自身はまったくそういうつもりはなかった」「父親が息子に『いいかげんにせい』と言うようなもの」と釈明したが、言い訳にしか聞こえず、怒りと反感を買った。

 また、会社とタレントのギャラ配分について質問を受け、「会社が9、タレントが1ということはない。ざっくりとした平均値でいっても、5:5か6:4です」と説明したことに対しても、芸人たちから反論と暴露が相次いだ。いまや、誰でもSNSで発信できる時代なのに、そのことに考えが及ばなかったようだ。

思考停止

 このように想像力が欠如しているのは、自分の頭で考えることができない思考停止によると考えられる。この思考停止が最も端的に表れたのが、会見の場での「あとで聞いてきます」という発言だろう。自分の頭で考えることができないからこそ、自分の発言がどういう事態をもたらすかに考えが及ばないのだし、ちょっと突っ込んだ質問をされると、「あとで聞いてきます」としか答えられないのだ。

「自分の頭で考えることができない人間なんて本当にいるのか?」と疑問に思われるかもしれないが、実際にいる。しかも、学歴はあまり関係ない。たとえ高学歴でも、自分の頭で考えることができず、思考停止に陥っている人はいくらでもいる。

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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