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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

スポーツをする子どもにも大人にも「重大なケガ」が増えている“恐ろしい理由”

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
スポーツをする子どもにも大人にも「重大なケガ」が増えている恐ろしい理由の画像1
「Getty Images」より

 このところたて続けに、スポーツを習っている子どもを持つお母様からの相談ごとがあり、いずれもその子どもがケガのためにスポーツを続けられなくなったというものでした。詳しく話を聞いてみると、共通して思い当たることがあり、個人的なアドバイス、提案をさせていただいています。

 思えば、相撲や野球、サッカーなどのプロの選手たちのなかにも、「ケガは当たり前」みたいな風潮もあり、大した問題とは思っておらず、さらには甘くみているようにさえ見えます。もちろん、プロスポーツはすべて、ある意味で格闘技といってもよく、相手を倒すか、自分が倒されるか、ぎりぎりのところで闘っているわけで、ケガを恐れていたのでは一流になれないという側面もあり、そこがまた魅力だともいえるので、難しいところではあります。

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 野球やサッカーのみならず、マラソン、駅伝、テニス、バドミントン、バレー、バスケ、ボクシング、フェンシング、陸上競技など年がら年中、ありとあらゆるスポーツをテレビで中継し、それにまた夢中になる人たちが多く、スポーツに気を取られている間に、大事な法案がいともたやすく国会を通過していたなどという、笑ってもいられない状況になっていることも気になります。ちなみに、筆者は基本的にスポーツ観戦をしません。時折、福岡に滞在している時に福岡ソフトバンクホークスの試合を観に行ったりはしますが、それは現監督が友人だからという理由があってのことです。また、相撲も観に行くことがありますが、それは知り合いが親しくしている部屋の力士を応援に行っているのです。

 相撲は単なるスポーツではありませんが、それは本題とはあまり関係がないので、ここでは考えないことにして、力士のケガは後を絶ちません。しかも、ケガをする場合、以前よりも重大なケガをするケースが多くなっているようで、一発で力士生命が断たれるというようなことも頻繁にあります。相撲のみならずスポーツ全般にいえることですが、ケガによって選手生命さえ危ぶまれるような事態にまでなってしまうのは、関節のケガです。

 野球をやっている子供たちは、よく肘を故障しますが、肘をケガしたこどもたちに、ゆっくりとした投球フォームをやらせてみると、素人の筆者でさえわかるような、間違った体の使い方をしていることがとても多いのです。これは、少年野球などの指導に携わっている人たちの、教えるレベルの問題です。ただひたすら野球が好きで、ボランティアで少年野球の監督やコーチを引き受けている人、というのがけっこういらっしゃるんです。

 これは筆者の友人のプロ野球関係者が嘆いていたことですが、少年野球の指導者の方は、とても真面目で一生懸命で、子供たちのためにという一途な思いでやっている方が多いのですが、教え方が間違っているために体を壊してしまう子供がたくさんいます。きちんとした指導者の下で、トレーニングをしていたらもっと上達したかもしれない子供が、体を壊してスポーツを続けられなくなっているケースも少なくないのです。

 十分に体の各部位をトレーニングして、必要な筋肉が発達した後と、その前とでは、当然やるべきことが違います。そのことを理解せず、いきなり試合をさせて100%の力で体を使うように仕向けたら、体は壊れるに決まっています。スポーツはすべて、プロとアマの最も大きな差は、フォームです。相撲でも野球でもサッカーでも、そのほかのスポーツでも、プロとして活躍できるのは、フォームがしっかりしている選手だけです。子供のスポーツは、その人のフォームをつくり上げていくためのプロセスにすぎません。そしてそのフォームは、すぐには完成しません。指導者は、まずそのことをわかっていないといけません。

 だから、喫緊の課題として、指導者のレベルアップを図るということは、重要だと思います。もうひとつ重要なのは、食事の問題です。これも、友人のプロ野球関係者が嘆いていたことですが、プロ球団には管理栄養士がいるのですが、その管理栄養士はスポンサーである製薬会社から派遣されてきていたりして、その会社が販売しているサプリメントを、これでもかというほど飲ませていたりするケースが多いのです。それは、本当に選手のためになっているのだろうかと、筆者は疑いの眼差しを向けてしまいます。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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