交際ゼロで結婚する若者たち 「恋愛→告白→セックス→結婚」の日本は異質?
振られないために、告白しない
しかし、今の20代は男女平等で友達感覚が当たり前。異性の友達とも食事や映画はもちろん、一泊旅行なども普通に行く。仮にどちらかが「恋人気分」になっても、基本は割り勘だから、キスやセックスにまで発展しなければ、付き合っているといえるかどうか極めてわかりにくい。
となると、告白は昔以上にハードルが高いうえ、「僕(私)たち友達じゃないよ、恋人だよ」との認識を示すうえで、やっぱり必須事項となるのだ。
では逆に、告白がなかった場合はどうか。
今回、拙著『恋愛しない若者たち』の取材で「セフレがいる」と話した女性たちのなかには、「もし彼(男友達)が告白してくれたら、付き合っていたかもしれない」との声が何人かから漏れた。セフレ持ちの女性が目立ってきた背後には、どうやら「告白できない男」の存在もあるようなのだ。
もっとも、筆者も今の時代の男性に生まれていたら、告白には相当なプレッシャーを感じただろう。
男女平等が当たり前の時代だから、女性も堂々と「イヤです」と拒否権を発動するし、下手に告白すれば、セクハラやストーカーに間違われるかもしれない。あるいは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で「なんでコクった(告白した)の?」「空気読めねぇな」なんて、袋叩きに遭うかもしれない。
だったら、あえて告白せず「友達のまま」でいよう……そう考えたくもなるのも無理はない。
欧米では告白をしない?
それに、なぜ「男女平等」といわれる現代なのに、こと恋愛や告白となると、相変わらず男性陣は「男から告白すべし」と男らしさを要求されるのだろうか。男性には、納得がいかないだろう。
さらに驚くことがある。
冒頭でも触れたとおり、告白文化は世界的にみれば、非常に珍しいもののようだ。国際恋愛や国際結婚にも詳しい、中央大学の山田昌弘教授によると、なんと「告白してから交際する」という文化や概念は、欧米にはほとんどない。アジアでも、日本以外では「貞操観念」が残る、韓国や中国ぐらいだというのだ。
山田教授いわく、「西洋の多くは、ちょっといいなと思ったらまずデートや食事に誘い、アイコンタクトやボディランゲージから恋愛に発展する。その前提として、誰か1人に絞って告白するのではなく、複数の異性と並行して付き合うという文化がある」のだそう。
恋愛文化を生んだ地とされるフランスをはじめ、ヨーロッパ諸国の多くが「告白せず、まず食事やデートをして、その流れでキスやセックスへ」と、なんとなく流れていくのが一般的とも山田教授は言う。これならば、日本のように告白ハードルは感じず、恋愛が重いものにもなりにくいだろう。