糖質制限ダイエットは危険!死亡率増?脳卒中や糖尿病、内臓障害の恐れ
ここ2~3年、「糖質制限食」『ローカーボ(低炭水化物)ダイエット』「糖はいらない」「断糖」「米(パン)は食べるな」『炭水化物が人類を滅ぼす』などという、「糖」を悪者にする書籍が多数出版され、「糖質制限」をすることこそが健康につながるなどという主張がなされている。
これによると、米、芋、パン、ラーメン、うどん、そうめんなどの炭水化物(多糖類)、アメ、チョコレート、ケーキ、砂糖、ハチミツ、まんじゅうなどの甘味、赤ワイン、日本酒などの醸造酒、くだもの、根菜など、糖分を含むものはすべてNGで、結局食べてよいのは「肉類と野菜」くらいなものになってしまう。
この「糖質制限食」を実践して2~3カ月間という短期間で数キログラム~数十キログラムの減量に成功し、高脂血症、高血糖(糖尿病)、痛風、脂肪肝、高血圧などが改善した、という人は多い。つまり、カロリー制限による面倒くさいダイエットと違い、簡単にやせられ病気も改善できるとして、人気を博しているわけだ。
しかし、問題が残る。
地球上に、水(蒸気)やガスなどしか存在しなかった太古の時代に、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に太陽光が作用して、ショ糖(C6H12O6)と酸素(O2)がつくられ、生物が生きていける環境が整った。
つまり、地球上に最初にできた栄養素(有機物質)が糖である。糖を構成する「炭素(C)」「水素(H)」「酸素(O)」を並べかえると、「脂肪」はすぐ合成できるし、糖に「チッ素(N)」や「硫黄(S)」をくっつけると、タンパク質の素のアミノ酸もつくられる。
つまり、「生物」は糖を元に発展してきたということになる。よって、「低血糖発作」は存在するが、「低タンパク発作」や「低脂肪発作」は存在しない。
生きていくのに一番大切な「食欲」も糖が調節している。血糖値が低下したら、脳の空腹中枢が「空腹」を感じ、モノを食べて血糖値が上昇したなら、満腹中枢が「満腹」を感じる。
「糖」こそ生物にとって最重要の物質であるからこそ、「食べすぎる」傾向にあり、それが中性脂肪に変化し、肥満、高脂血症を惹起し、その結果、糖尿病、動脈硬化、高血圧、血栓症(脳梗塞、心筋梗塞など)を誘発することになる。
よって、糖が悪いのではなく「食べすぎ」がこうした生活習慣病の要因なのである。その証拠に、100歳以上の長寿者に、好きな物は何かと尋ねると、必ず1位、2位には「甘いもの」と「果物」が入る。