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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

糖質制限ダイエットは危険!死亡率増?脳卒中や糖尿病、内臓障害の恐れ

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士
糖質制限ダイエットは危険!死亡率増?脳卒中や糖尿病、内臓障害の恐れの画像1「Thinkstock」より

 ここ2~3年、「糖質制限食」『ローカーボ(低炭水化物)ダイエット』「糖はいらない」「断糖」「米(パン)は食べるな」『炭水化物が人類を滅ぼす』などという、「糖」を悪者にする書籍が多数出版され、「糖質制限」をすることこそが健康につながるなどという主張がなされている。

 これによると、米、芋、パン、ラーメン、うどん、そうめんなどの炭水化物(多糖類)、アメ、チョコレート、ケーキ、砂糖、ハチミツ、まんじゅうなどの甘味、赤ワイン、日本酒などの醸造酒、くだもの、根菜など、糖分を含むものはすべてNGで、結局食べてよいのは「肉類と野菜」くらいなものになってしまう。

 この「糖質制限食」を実践して2~3カ月間という短期間で数キログラム~数十キログラムの減量に成功し、高脂血症、高血糖(糖尿病)、痛風、脂肪肝、高血圧などが改善した、という人は多い。つまり、カロリー制限による面倒くさいダイエットと違い、簡単にやせられ病気も改善できるとして、人気を博しているわけだ。

 しかし、問題が残る。

 地球上に、水(蒸気)やガスなどしか存在しなかった太古の時代に、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に太陽光が作用して、ショ糖(C6H12O6)と酸素(O2)がつくられ、生物が生きていける環境が整った。

 つまり、地球上に最初にできた栄養素(有機物質)が糖である。糖を構成する「炭素(C)」「水素(H)」「酸素(O)」を並べかえると、「脂肪」はすぐ合成できるし、糖に「チッ素(N)」や「硫黄(S)」をくっつけると、タンパク質の素のアミノ酸もつくられる。
 
 つまり、「生物」は糖を元に発展してきたということになる。よって、「低血糖発作」は存在するが、「低タンパク発作」や「低脂肪発作」は存在しない。

 生きていくのに一番大切な「食欲」も糖が調節している。血糖値が低下したら、脳の空腹中枢が「空腹」を感じ、モノを食べて血糖値が上昇したなら、満腹中枢が「満腹」を感じる。

 「糖」こそ生物にとって最重要の物質であるからこそ、「食べすぎる」傾向にあり、それが中性脂肪に変化し、肥満、高脂血症を惹起し、その結果、糖尿病、動脈硬化、高血圧、血栓症(脳梗塞、心筋梗塞など)を誘発することになる。

 よって、糖が悪いのではなく「食べすぎ」がこうした生活習慣病の要因なのである。その証拠に、100歳以上の長寿者に、好きな物は何かと尋ねると、必ず1位、2位には「甘いもの」と「果物」が入る。

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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