インフルエンザ対策として、有効な手段のひとつがワクチンの接種だ。このワクチン接種、実は今シーズンから料金が上がり、同時に流行拡大を防ぐための改良がなされたことをご存じだろうか。しかし、多くの医師が「改良しても、効果は変わらない」と予想している。
一口にインフルエンザといっても、ウイルスには大きく分けて、A、B、Cの3種類があり、さらに亜種と呼ばれる細かな違いで、A香港型(H3N2亜型)、Aソ連型(H1N1亜型)などに分類される。
どの型のウイルスが流行するかは予測するしかなく、北半球では世界保健機関(WHO)が毎年2月頃に推奨ウイルスを決定する。各国は、それを基にワクチンに入れるウイルスを決めるわけだ。
日本はこれまで、流行しやすいA、B型を対象に、A型2種、B型1種を入れた3価ワクチンを製造していたが、今シーズンからB型を1種類増やし、A型2種、B型2種の4価ワクチンに改良した。厚労省は、対応するウイルスの種類が増えることで、インフルエンザの発症や重症化に対する予防効果が上がることが期待される、と説明している。
しかし、医療従事者専門サイト「m3.com」が医師2685人に対して「過去のシーズンよりも予防効果は高まるかどうか」を尋ねた調査では、「変わらない」が44.0%で、「高まると思う」の38.1%を上回っている。
この結果について、都内の医師は「B型の流行の規模はA型より小さく、重症度も低いという実感がある」と打ち明ける。また、「対象が増えれば確率は上がるが、当たるかどうかは、最終的に流行シーズンにならないとわからない」とも語る。
問題は、3価から4価になったことで、ワクチンの価格が1000円前後上がったことだ。それに伴い、病医院での接種価格も500~1000円程度上がっており、ワクチン接種者が減少することで、かえって流行が拡大しかねないとの指摘もある。
一方、前述の調査では医師の92.1%がワクチンを接種済み、または近く接種予定で、94.7%が患者にワクチン接種を推奨すると回答している。また、自身が行うインフルエンザ対策としては「手洗い」「うがい」「マスク着用」「早寝早起き」など、一般的な風邪予防策が挙げられた。ワクチン接種とともに、ごく当たり前の対策が、この冬を健康に乗り切る秘訣ということだろう。
(文=編集部)